第25話 「いま、そこにある危機」
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っ、いけない。思わず書類でアンネローゼの頭を叩いてしまいました。
いけませんね、あまり感情を乱しては、お腹のこどもによくありませんね。
「はやく大きくなるのですよー」
お腹を撫でつつ、言い聞かせます。
「ぐぬぬ、ガッデム」
まあ、どうした事でしょう。
アンネローゼの目がぎらりと光ってしまいました。
まさか、お腹のこどもを……。
ああ、やめてぇ〜。
「あ、どうしたんだ?」
「皇太子殿下ぁ〜」
「うおっ、なんだ。いったい何があった。ラインハルト、説明しろ」
「実は……」
「でんかぁ〜」
アンネローゼがまるで幽鬼のようです。
まさに魔女のように見える。
「ああ、皇太子が捕まってしまったぁー」
「ラインハルト様、その棒読み口調はなんですか?」
「もういいんだ、ジーク。もう色々と諦めた」
「アンネローゼ様が皇太子殿下を引きずって」
「なにがあったんだぁー」
「がんばれよぉー」
「ラインハルト、助けろー」
ああ、皇太子殿下がアンネローゼに連れ攫われていきますぅ〜。
ラインハルト、貴方の姉でしょう。なんとかしなさい。
「ラインハルト様が……笑っています。まさに冷笑!!」
なんという姉弟。
あ、悪魔です。ミューゼル姉弟は悪魔ですー。
「姉上は、皇太子に押しつけてしまおう。それがいい。そうするべきだ。我々が被害を受けないうちにっ!!」
「ラインハルト様は変わってしまわれた……」
「たーすーけーろー」
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