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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第25話 「いま、そこにある危機」
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って戦後を見越した策だぞ。貴族の私兵としての艦隊は廃止する。その代わり、帝国軍として各星系に駐在させるおつもりだ。領地内の治安は、艦隊ではなく。地上部隊で十分になる。領民の暴動など、ザ○で十分対処可能だ。治安の象徴してのMSになる。そしてザ○ファイトを行う事で、ザ○の力を知らしめる」

 まったく。先に先に考えている宰相閣下が、目の前におられるというのに、何も学んでいない。
 これではラインハルトやジークの方がよほど物を考えている。
 あいつらは宰相閣下の片腕になる連中なんだ。
 あーオーベルシュタインに会いたい。
 あいつとなら、ぶつかる事も多かったが、まともに会話ができた。

「いいか、戦争を止めるだけなら、今すぐにでも交渉を開始すればいい。向こうが受けるか受けないかは分からんがね。ただ経済戦争で勝てると思っているほど、宰相閣下は楽観視されていない!!」
「それは市場に任せるべきことだ」
「任せた結果が、今の状況だろうがっ。無意味な自主規制。暗黙の了解。知ってたか? 帝国に娯楽や映画に関する規制はない。内務省もこの手の連中を捕らえた事もない」
「ばかな」
「なんとなく、そう思っていただけだろう。誰もがあると思い込んでいる。それを撤廃するのはどうすればいい? 強引に作らせるしかないだろう。ないものでもあると仮定し通達して、宣言するしかない。本来そういった事を、調べ、分析して宰相閣下に、進言するのが卿らの役割だろうが、仕事をサボってんじゃねー」

 そのうちこいつらではなく、アンネローゼ様たちの方が改革の旗手と、呼ばれるようになるかもしれんな。後宮から改革を進めたとか言われるようになる。
 実際、そうなりかけている。
 宰相閣下が改革を進めるために、後宮に有能な女性を集めたと噂されているんだ。
 そんな状況を恥ずかしいとは思わんのか。
 公平な税制と、法整備。政治参加だけで話が終わるほど、単純ではあるまい。
 このまま行けば、戦争は勝ったが、経済では負けたという事にもなりかねん。
 そうなれば帝国の方が経済的植民地になってしまうのだ。

「宰相閣下の持つ、危機感が理解できていないのだな。困ったものだ」

 俺とオーベルシュタインが抜けた後、こんな風になってしまっているのか……。
 ブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム候がいるだけ、まだマシかもしれんが。
 負担は大きいだろうな……。

 ■宰相府 アレクシア・フォン・ブランケンハイム■

「ぱんぱかぱ〜ん。わたくし、アレクシア・フォン・ブランケンハイムは懐妊しました」
「解任になるのですか? 良かったです」
「懐妊したと言っている」
「誰の子ですか?」
「皇太子殿下のこどもに決まっているでしょうがぁー!!」
「い、いたい……」

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