心からの安息、押し寄せる不安
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
<山奥の村>
私達一家がこの村で暮らし初めて6年の歳月が流れ過ぎた。
この村の名前は『山奥の村』……
思わず『変な名前ね!』と言った事がある。
そうしたら村の人が教えてくれました。
正式な名前は『温泉で超有名な山奥にある村』と言うらしいのだが、皆さんも長いと感じたみたいで、いつの間にか省略されていたと言う……
こんな事を思う私が変なのかしら……
名前が長いと思った時点で、『アルカパ』とか、『サンタローズ』とか、それらしい名前を付ければ良かったのでは?
……私の考え方が間違っているのかしら?
そんな山奥の村にも馴染む事が出来た我が家。
出来上がったばかりの水門管理を率先して行ったのが効果的だったのだろう。
とは言え、体の丈夫ではないお父さんだけで水門管理をするのは無理な為、最近では殆ど私が管理している。
今日もこれから水門を開けに行く……
空の様子を見ると、近々雨が降りそうなので上流の水位を下げておく必要があるのよ!
水門までは私の足で片道3時間弱……
水門での作業時間を入れても、往復8〜9時間かかるの。
村から外に出ればモンスターも現れるし、最初の頃は家族総出での大仕事だった……しかし、私も随分と成長した。
今では1人でこなしているのだから。
そんな訳で、別に1人でも問題ないのだが、今日に限ってイディオタが一緒に行くと言い出したわ。
『イディオタ』とは、この村で生まれ育った私と同い年の男の子。
初めて会った時は、私の事を都会育ちの世間知らずとバカにしてきた……
当時の私はそれどころでは無かったので、完全に無視をしていたのだが、温泉宿のおばさんに『イディオタはアンタに気があるんだよ。許してやってね』と言われて、初めて惚れられている事を知った。
正直そんな想いを寄せられても、迷惑以外の何物でもないので、釘を刺しておこうと思い『アンタ、私の事好きなの? 私、心に決めた男の子が居るから、諦めてね! アンタより可愛くて、アンタより格好良くて、アンタより強いんだから……私の事は諦めてね!』と言ってやったのよ。
そうしたら泣きながら『ふ、ふざけんな! だ、誰がお前みたいなブスに惚れるかよ! 自惚れてんじゃねーよ!』と逃げていってしまった……
それ以来、村で出会っても視線を合わせず、挨拶すらしてこなかったので、諦めた物だと思い放っておいたのだが……
ここ2.3ヶ月して向こうから話しかけてくる様になったのだ。
話しかけられて無視するのも失礼な事だし、礼儀知らずな娘と思われるのは嫌だし、すれ違う度の挨拶とかはしていたのだが、今日急に『1人で水門まで行くのは危ないから、俺が一緒に行ってやるよ…俺は強いからな!』と、強引に付いてきたのだ。
さっきも言ったが私の足で片道3時間
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ