決着
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せやがってよ」
すると右腕の肘から下の装甲が一部開放され、中から冷却のためだろうか、蒸気のようなものがあふれ出した。
「さて、さっさと戻りますかね」
ラウラをお姫様抱っこしたまま響はピットに戻っていった。
「う、ん……」
ぼんやりとした光に照らされ、ラウラは目を覚ました。
「気がついたようだな」
ラウラはその声にはたとした。声のするほうを見るとラウラが敬愛する教官、織斑千冬の姿があった。
「私……は……?」
「身体に過度の疲労が見られた。そのため筋肉疲労と多少の打撲が見られたからな、しばらくは動かないことだ」
「打撲……ですか? 痛っ」
千冬に言われ上体を起こそうとしたラウラが首筋を押さえた。それを見た千冬は軽く吹き出し、隣に引いてあったカーテンを開けた。
「その打撲はコイツのせいだろうな」
そこにいたのは大口を開けたまま眠る響の姿だった。彼女は口元から少しよだれを流しながら眠っていた。
眠る響の姿がおかしかったのか千冬はくつくつと笑いを漏らしていた。
「こんなヤツに負けて悔しいか?」
「……いえ、不思議と悔しくはありません。むしろ清々しい気分です」
苦笑しながらラウラが答える。その顔は今までの冷徹な顔とは打って変り、とても温かみのある笑みだった。
「お前がそんな顔をするとはな」
「え……!?」
ラウラの笑みに千冬がにやりと笑う。ラウラ自身かなり恥ずかしくなったのか真っ赤になってしまった。
すると千冬が力強くラウラの名を呼んだ。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「は、はい!」
条件反射で思わず返事をしたラウラは千冬の方に向き直る。
「お前は何者だ?」
「私は、私……は……」
ラウラはそこで言葉を詰まらせてしまっていた。だが千冬から出てきたのは意外な言葉だった。
「答えられないのであれば、お前はこれからラウラ・ボーデヴィッヒになればいいさ。なにせ時間は山のようにある。しかも三年はここにいなければならんからな。じっくり悩めよ小娘」
それだけ告げると千冬は踵を返し、ドアに手をかけた。しかしそこで振り向かずにラウラに告げた。
「それと、ソイツは異様に同性からもてるようでな。お前も気をつけろよ」
手遅れかもしれんがな、と最後に付け加え千冬は保健室を後にした。
千冬が出て行ったドアを見つめていると、隣で眠っていた響が目を覚ました。
「くぁ〜……あーよく寝た。ん? おー起きたのかボーデヴィッヒ」
大あくびをしながらラウラのほうを見た響は目を擦っていた。
「あ、ああ。貴様のほうこそ随分とよく眠っていたな。……やはり私の攻撃のせ
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