決着
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六月の最終週となり、いよいよ学年別トーナメントが始まった。
学園の生徒達は会場の整理、案内、来賓たちの誘導を行うなどてんてこ舞いだ。だがそれが終われば更衣室に走り、皆一様にISスーツへと衣装を変える。おかげで更衣室は大混雑だ。
しかし、そんな中でも一つ混雑していない更衣室が存在した。男子更衣室である。
何せ男が一夏だけのため、だだっ広い更衣室を一夏は独り占めしていた。
が、
「いやー、やっぱりこっちの方に来た方がよかったなー。サンキューな一夏」
なぜか更衣室には響、そしてシャルロットがいた。
「わかったからさっさとISスーツきてくれよ!!」
響の感謝に一夏は背中を向けたまま抗議した。
実際響は下着一枚であるため一夏からすれば気が気でないだろう。シャルロットも時折あたふたとしている。
では一体何故こんなことになったかというと、一度響たちは女子の更衣室に向かったらしいのだがあまりに混雑していたため、他の更衣室を探していると響が思い至ったように一夏の使っている男子更衣室を使うと言い出したのでこういうことになったのだ。
さすがにシャルロットが止めたのだが、響は聞く耳をもたず理由も大して説明しないままさっさと着替え始めてしまったので一夏も追い出せずにいるのだ。
「まったく……響はもう少し羞恥心をもったほうがいいよ?」
「別に見られて減るもんじゃねぇだろ……っと。こっち見ても大丈夫だぜ一夏」
一夏が恐る恐る後ろを向くとISスーツに身を包んだ響が立っていた。
「はぁ……心臓に悪いって……」
「心臓に悪いって言ってるけどよ、ちょっと前はシャルロットとか篠ノ之とかと同じ部屋だったんだから気にすることもねぇだろ」
「う……」
響の当たり前の意見に一夏は少し焦った表情を浮かべる。シャルロットも若干苦笑いだ。
「まぁそんなこたぁ置いといてだ……。スッゲー人だなおい」
近くの椅子に腰を下ろしつつ、流し目でモニタを確認した響が呟いた。
モニタの中には観客席の様子が表示されており、そこには各国の政府関係者やISの研究員、各企業のエージェントなどが来賓席に並んでいた。
「三年生にはスカウトがあるし、二年生にも一年間の成果を出すための場でもあるからね。一年生にはあまり関係ないけど大会上位者にはそれなりにチェックが入ると思うよ」
「ほー……。そんなもんなのか」
シャルロットの説明に響が感心しているものの、一夏は拳を握り締めていた。
「熱くなるのもわかるけどよあんまり感情的になるなよ一夏」
「わかってる……けどさ……」
「いいか一夏。頭はクールに心はホットに、だ。頭まで熱くしちまったらいつもどおりの力が出せ
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