第四十二話 百物語その六
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それでだ、茉莉也は二人に笑顔でこう言ったのである。
「じゃあいいわね」
「お酒ですか」
「それですね」
「そうよ、どっちにしても飲むつもりだったけれどね」
今夜もだ、茉莉也はそうするつもりだったのだ。
「だからいいわね」
「お酒ですか」
「今晩もですか」
「実は今晩は趣向が違うのよ」
二人に上機嫌で話していく。
「楽しくね」
「楽しく?」
「楽しくっていいますと」
「ワインよ、赤ワインね」
「神社なのにですか」
「赤ワインなんですか」
「教会から貰ったのよ」
宗教の垣根を越えて交流をしている学園内にある教会である。
「あそこからね」
「それで赤ワインなんですか」
「今回は珍しくそっちなんですね」
「そうなの、それでどうかしら」
にこにことしてだ、茉莉也は二人に話していく。
「今晩はね」
「それでお酒と一緒に食べるものは何ですか?」
「今晩のあては」
「チーズよ」
それだというのだ。
「チーズ各種、どうかしら」
「ああ、ワインだからですね」
聖花は茉莉也の話を聞いてすぐにわかった、赤ワインといえばそのあてとして相応しいものの一つにチーズがあるからだ。
「それで、ですね」
「そうよ、こっちは元々家にあったのよ」
「神社にですか」
「ええ、そうなの」
こう話すのだった。
「普段は日本酒と一緒に食べてるけれどね」
「日本酒にチーズ、ですか」
愛実はその組み合わせに顔を曇らせて言葉を返した。
「何でいいますか」
「不自然だっていうのね」
「はい、想像できないです」
愛実の中ではどう考えても合わないものだった、彼女もチーズといえばワインなのだ。赤にしても白にしてもだ。
「ちょっと以上に」
「そうかもね、けれどね」
「それでもですか」
「私はそっちでも飲むのよ」
チーズを食べながら日本酒を、というのだ。
「私的にはいけるのよ」
「お米にチーズですか」
日本酒は米から作る、このことからの言葉だった。
「何ていいますか」
「合わないっていうのね」
「ですから想像出来ないです」
「ワインとチーズは想像出来ても」
「はい、かなり」
こう茉莉也に言う。
「和菓子の時も思うんですけれど」
「まあ舌はそれぞれだからね」
「そういうレベルですか?けれど今回は赤ワインにチーズですね」
「そうよ」
「その組み合わせなら」
それならというのだ。
「いいと思いますよ」
「じゃあ二人共いいわね」
「ううん、何かいつもお呼ばれしてますけれど」
「妖怪さん達にも」
考えてみればそうだ、二人は泉探しをはじめてから何かと妖怪達にご馳走になり続けている、このことについて言うのだ。
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