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八条学園怪異譚
第四十二話 百物語その五

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「幽霊さんや妖怪さんもでしょ」
「ですね、お店をやってても理不尽なこと多いですし」
「色々とありますから」
「理屈は理屈でしかないのよ」
 茉莉也はこれをこの言葉でばっさりと切り捨てた、何でもないものだというのだ。
「所詮はね」
「所詮は、ですね」
「それでしかないんですね」
「そうよ、世の中理不尽なことだらけだから」
 理屈という狭い籠の外には理不尽という大海が広がっているというのである。
「二人共もうわかってるのは流石ね」
「ですからお店じゃいつもですから」
「理不尽なことだらけですね」
 生粋のお店の娘らしい二人の言葉だった。
「先輩もですし」
「博士にしても」
「考えてみるとあんた達の周りって理不尽なことだらけね」
 茉莉也は二人のもうわかっているという顔と目を見て述べた。
「だから大人なのね、年齢にしては」
「大人かどうかはともかくとして」
「理不尽には慣れています」
 逞しいと言うべきか、少なくとも二人は理不尽に慣れていることをしっかりしていると言うのならしっかりしていた。
 それでだ、茉莉也は二人にこう言った。
「じゃあ次はね」
「はい、小学校の裏ですね」
「うわばみさんのところですね」
「お酒持って行ってね」
 これは忘れれはならなかった、うわばみに対しては。
「いいわね」
「はい、それじゃあ」
「次はそこに行きます」
「勿論私も行くわよ」
 酒好きの茉莉也が行かない筈がなかった、二人ににこにことして言う。
「それでいいわね」
「つまり次は大酒飲みが二人ですね」
「その組み合わせですね」
「何か刺のある言い方だけれどその通りよ」
 茉莉也は二人の毒のある言葉をあっさりとかわしてそのうえで自分の言葉を返した。
「それじゃあね」
「はい、じゃあ」
「次はですね」
「そろそろ終わってきたわね」
 茉莉也は目だけで周りを見た、見ればだった。
 ポルターガイスト現象が終わってきていた、それを見て言うのだった。
「じゃあ完全に終わったらね」
「もう今日は、ですね」
「これで終わりですね」
「そう、終わりよ」
 これでだというのだ。
「じゃあ次はね」
「うわばみさんのところですね」
「そこにですね」
「いや、今夜は行かないでしょ」
 茉莉也はうわばみのことを言う二人にすぐに突っ込みを入れた。
「次でしょ」
「あっ、そうですね」
「そうなりますね」
「そうよ、ちょっと気が早いわよ」
 二人に笑って言う。
「早くとも明日だからね」
「ですね、じゃあ今夜は」
「これでってことですか?」
「いや、まだ十時よ」
 今回は三人で三話ずつ読んでいたので早く済んだのだ。八時に読んでそれで十時には終わったのだ。
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