八話 「補殺」
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いだろう。
苦無を持っていない方の手でウサギを押さえつける。
躊躇っても意味が無いし、そうすれば余計めんどくさいので一気に手を振り下ろす。
(せー、の)
苦無の先端が、ウサギの喉に突き刺さる。
血が流れ、ウサギの体が痙攣する。
同時に、白の手が一瞬震えたのが分かる。
(嫌な感覚だな、これ)
変に弾力のある柔らかい物を突き刺す様な感触が手に伝わってくる。血抜きの為にも、そのまま苦無を横に動かす。
刺さる瞬間の、プツン、グチャ、とでもいう感じの触感が気持ち悪い。包丁で間違って手を切った時の感触をずっと強くし、継続した様な物だろうか。抑えている左手に伝わる温かさが変に感じてしまう。
暴れなくなってきたところで適当な木の枝に紐で括り付け、逆さづりにする。
このまま暫く放っておけば血抜きは出来るだろう。多分。そう書いてあったし。
「大丈夫か、白」
「いえ、大丈夫です。初めてだったので少し戸惑っただけです」
こちらを向き、小さく白が微笑む。
言う通り、白の表情は特に変化はない。
(そういやこいつ、親殺してるんだっけ)
それから比べれば、ウサギ位は大したことないなそういえば。食べる為、そう思えばこれは変な事をしているわけではないし。
俺は自分の意思で人を殺したことが無いから分からないが、いったいそれはどんな気持ちなのだろうか。
きっと、今程度の感触では済まないのだろう。比べること自体おこがましいのだろう。
意味なかったなーと思いつつ、俺は血にぬれた苦無を川で洗った。
「血抜きが終わるまで少しかかる。それまで属性か形態とかその辺の事しとけ」
「分かりました」
ゴムボールを持った白が座ったのを見、俺は準備に動いた。
足首のまわりを、丸く浅く切る。
足首から背中に苦無を入れる。頭、腕という順に、皮だけを切りながら、下に下にと苦無をもぐりこませ皮をはがしていく。
股関部分にの部分に臭いを出す腺があるので、切る。この際、苦無の刃を手前にし、指で皮を持ち上げるようすると切りやすい。
温かい内なら容易く皮をはぐことができる。首まではいだら頭部を切落す。
腹の筋肉を薄くつまみ、内臓をキズつけないように気を付けて少しだけ切る。
切った部分から肛門の方向に、内臓をキズつけないように腹をで切り裂き、大きく穴をあける。
同様に胸骨まで切り開き、内臓を取り除く。
この後は好きなように肉を小分けに切って行く。燻製にするもよし。
「こんなもんか」
本を見ながらウサギを解体。
本当なら適当に調理(といっても焼くだけだが)したかったのだが、時間的に中途半端だ。持ち帰って何か作ろう。
そう思い、もう一つの事をする。
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