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弱者の足掻き
八話 「補殺」
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い以上、知識だけでなく実際の技術を得られるようにしなくてはと思ったのだ。
 実際に人で試すまである程度の下地が無くてはいけない。
 そのため不定期でだが白を通わせている。勿論姿を術で変えてだが。

 白と共に歩き出す。
 視界に白露屋が映り、足を止める。

「久しぶりに何か買うか。疎遠になって話聞けなくなったら困るしな。何か欲しい物あるか?」
「でしたら、御饅頭が一つ食べたいです」
「了解」

 財布片手に近づいて行く。
 実際は話を聞けなくなることなんて諸事情によりありえないのだが、まあ無駄ではないからいいだろう。
 店のおっちゃんがこちらに気づき、軽く手を振る。

「おう、久しぶりだなイの字。何か買ってってくれよ」
「饅頭二つ下さい。餡子一つと味噌一つで」
「毎度。白ちゃんも久しぶりだな」
「お久しぶりです」

 渡された袋を受けたり、代金を渡す。
 袋を開け、気づく。

「あれ? 何か多いんですが」
「オマケだオマケ。家のバカと遊んでくれてる礼だよ」

 おっちゃんはカジ少年の父親だ。諸事情とはその事だ。
 
「売れ筋の葛餅を入れといた。美味かったら今度買ってくれ。これからも家のと仲良くしてくれよな」
「ええ。こちらこそ」
「おう。白ちゃんも頼むぜ。喜ぶだろうから遊んでやってくれ」
「はい。時間が有れば」

 それでは、とおっちゃんと別れ家の方へと歩いて行く。
 饅頭を齧りながら歩いていると、そういえば、と思い出す。

「すまん白。ちょっと用事が有った。先に帰っといてくれ」

 そう言い、袋を白に渡す。

「分かりました。何の用ですか?」
「ちょっとジジイの所で紐とかボールとか買ってくる。後適当に色々周ってくる」

 ジジイと言うのは前にお茶を買った店のジジイだ。
 ゲンジ、とか言う名前らしい。いかにも頑固そうな名前なことだ。
 何か欲しい小物が有ればちょくちょく行っているので既に顔見知りである。元々客も少ないし。
 ちなみに小物ならそのまま。高い物とかは前のように変化して行っている。
 他にも色々と個人的な入用が有るのだ。付き合ってみて分かったがあのジジイ色々と曲者である。まあ、立地とか色々考えてみたら納得だったが。

「分かりました。では、僕はお先に」

 白が去って行こうとし、止まって振り返る。

「そういえば、今日の夜は何か希望でもありますか?」
「特にない。好きに作ってくれ。おっさんに言われたらそれでいい」
「分かりました。では、作って待っています」

 今度こそ白は去って行った。
 それを見送り俺も歩き出していった。






 あれから暫く。
 毎度のことながら、鍛錬をするために白と森の中に来ている。
 
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