八話 「補殺」
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うか、才能ある奴は真っ向から戦うだけでも強いけど、俺みたいなのはああいったことしないと勝てない。白は根が真面目だから自分からそういった事しなさそうだけど覚えろ。そうすりゃもっと強くなれる」
正当な努力で手に入れた力を踏みにじる様な行為は卑怯だと言われる。だが、弱者が強者に勝にはそう言った事が必要だ。
そして、そういった“弱者が強者に勝つ知恵”を“強者”が修得したらどうなるか。
まあ、答えは簡単だろう。
(弱い奴が勝てるわけねぇわな)
当たり前だ。
そもそも凡人はどれだけ努力しても凡人なのだ。凡人が努力しても努力する天才には勝てない。正だけでなく蛇の方まで努力したら凡人には無理だ。
だから教える。万が一に変な罠にかかって白が死なない様に。俺の命綱が切れない様に。
今回やったのは凄まじく温い手だが、こういった手段もあるということさえ教えれば白は勝手に学習していく。
一を聞いて十を知るというように勝手に自分でどんどん考えてくれるだろう。だからとりあえずでもその切欠を教えるのが大事なのだ。
白が水筒を返して来る。
「もう大丈夫か?」
「はい、もう取れました」
そういい、白が目を開ける。
ゴミが入った性で涙が流れ、目も赤い。
(っく、なんだこの罪悪感は……)
……なんというか、小さい女の子を暴力で泣かせてしまったような感覚だ。おい、そんな赤い目でこっちみんな。
まあいいや。
「そろそろ道具とか術も混ぜて組手やってみるかね……」
「苦無とかですか? 危ないと思いますが」
「勿体ないけど、刃は潰すよ。まあまだ先だから、とりあえず考えとこ」
痛いのはやだけど、色々と考えとかないと。
(慣れとかないとな……)
まだ先の事だが考える度に嫌になる。
組手も十分したので、さっさと次に移るとしよう。
「そういや白、お前“アレ”はどこまで読んだ?」
「目を通すだけなら一通り通しました。C以上はまだほとんど出来てません」
「いや、出来たらおかしい。……久しぶりに俺も見てみるか」
カバンから“アレ”を取り出す。
“アレ”というのは巻物の事だ。親バカな親が残した術の巻物。
巻物を開かず、中心の芯の部分を捻り手前に引く。すると黒い棒が出てくる。
その後ろ側のキャップを外し、中に有る小さな棒を回す。すると、棒の側面に筋が入って小さく開き、白い紙が出る。
自分の指を噛み切り、そこに血を擦り付けて元に戻し棒を芯に戻す。
これで罠は解除されたので安心して巻物を開いて行く。
開いて行く中、書かれている文字が目に入る。
(今更だけど、ほんと親バカだよなぁ)
書かれているのは術だ。術の印やどういった術かなどが色々と書かれている。
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