第四十二話 百物語その一
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第四十二話 百物語
愛実と聖花は一旦図書館に向かった、高等部商業科の図書館だ、ろく子も同行している。
その中に入ってすぐにだ、お目当ての本を見つけた。
「タイトルそのままね」
「そうね」
百物語、まさにそれだった。
「しかも何冊もあるし」
「これを借りたらいいわね」
「後は読むだけですね」
ろく子はその本がある本棚を前にしている二人に言った。
「茶室で」
「そうですね、一人当たり三十三話ですね」
「先輩も入れて」
今この場にいないが茉莉也も入れてのことである。
「三人で読んでいって」
「それでいいですね」
「そうです、ただ」
「ただ?」
「ただっていいますと」
「百物語のことは御存知だと思いますが」
ろく子は何処か学者めいた物腰で話している、今は首は伸ばしていないので知的な美人そのものの外見である。
そのろく子がだ、こう二人に言うのだ。
「百話の後で、です」
「何か起こるんでしたよね」
「それが百物語ですよね」
「そうです、この学園の場合は」
それがだというのだ。
「泉ですが」
「それが出て来るかどうかですね」
「それが問題ですね」
「どちらにしろ必ず怪異が起こるとされています」
百物語を読めばだ、それは絶対だというのだ。
「このことは間違いないと言われています」
「絶対、ですね」
「そこは」
「はい、そう言われています」
こう二人に話すろく子だった。
「それは様々ですが」
「何が起こるかは、ですか」
「その都度違うんですか」
「幽霊や妖怪が出たり」
まずはろく子達自身だった、この学園にもいる。
「その他には。ポルターガイスト現象が起こることも」
「そういうのもですか」
「あるんですか」
「本当に様々です」
何が起こるかはというのだ。
「ですから具体的には何が起こるかは私もこれだとはっきりは言えないです」
「そうなんですね」
「それはなんですね」
「少なくともこの学園ではそれが、です」
「泉かも知れないんですね」
「そういうことですね」
「そうです、若し泉なら」
その場合はというと。
「読み終えたその瞬間に瞬間移動しますね」
「出入り口だからですね」
「そうなるんですね」
「そうなります」
こう二人に話すのだった。
「若しかするとですが」
「今度こそ、でしょうか」
「そうなればいいんですが」
二人もこう言う。
「まあ次の候補地も見つけてますけれど」
「うわばみさんのところに行く予定です」
「そこは泉でなくても行かれますね」
ろく子は二人の考えを読んで言った。
「そうですね」
「はい、それはもう」
「そのつもりです」
二人はろく子にすぐに答えた。
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