第十章
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第十章
その光も消されてしまった。全く効きはしなかった。
「私の光もまた」
「生憎だったわね」
美女は驚きの表情を見せる彼女にも言ってみせてきた。
「私の結界は武器だけを防ぐものではないのよ」
「魔術もまた」
「そうよ。覚えておくことね」
その言葉と共にであった。彼女のハープから糸が出て来た。そしてそれが三人を貫こうとする。
しかしそれは三人共かわすことができた。それぞれ跳びかわした。
「今のはかわせるのね」
「かわしていなければ命がなかったわね」
アンジェレッタはにこりともせず彼女に言葉を返した。
「そうね」
「ええ。私の糸はただの糸ではないわ」
美女はここで言うのだった。
「その首に巻きつき生気まで吸い取る」
「そうして命を奪う」
「それが私の糸」
こう話すのだった。
「覚えておくといいわ」
「話はわかったぜ」
本郷は美女の話を聞いて述べた。
「大体な」
「それではどうするのかしら」
「言ったな。倒すんだよ」
攻撃を砕かれてもだった。彼は強気の態度を崩さなかった。そのうえでの言葉だった。
「手前をな」
「攻撃が効かないというのになのね」
「ああ、それは心配するな」
強気の言葉は目にも出ていた。光が強い。
「手前の心配することじゃないからな」
「だからなのね」
「そうさ。気にするな」
こう言うのである。
「それで俺はな」
「どうするつもりかしら、それで」
「来な」
笑みを浮かべながらの言葉だった。
「その糸をな」
「死にたいのかしら」
「面白いものを見せてやるんだよ」
「面白いもの?」
「そうさ。それを今から見せてやるからな」
言葉はそのまま出される。
「だから今から。来いよ」
「わかったわ。それじゃあ」
美女は彼のその言葉を受けてであった。またハープから糸を出した。
それにより今度は本郷だけを貫こうとする。しかしであった。
本郷の目が鋭くなった。そして居合いの要領でその糸を切った。何と糸を横から一閃し真っ二つにしてみせたのである。
「うっ・・・・・・」
するとだった。不意に美女が苦悶の声をあげた。
その美しい顔を歪ませている。そのうえで言うのだった。
「まさか、糸を」
「こういう芸は知らなかったみたいだな」
糸を切った本郷は得意げな顔で述べてみせた。
「糸だってな、技さえあれば切れるんだな」
「糸もまた」
「そうさ」
まさにそうだというのだ。
「これはわからなかったみたいだな」
「ええ、それはね」
美女の顔は苦しげである。そして役はそれを見ていた。だが今は何も語らなかった。
そして美女はだ。表情を元に戻したうえでまた言ってきた。
言葉も元に戻している。そうして言うのであった
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