第二部 文化祭
第37話*新たな想い
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
訳:『キリトも食べる?』──といったところだろう。
「買えるわけないだろ……」
ケーキ屋でリズベットが頼んだケーキの数はすざましく、俺の分まで買うお金なんてない。
「そうじゃなくて、あたしのこのケーキを食べるかって訊いてんのよ」
そう言ってリズベットが差し出してきた皿に乗っているのは、食べかけのケーキ。
「いや、でもそれは」
「な、なに照れてんのよ! く、口に入っちゃえば同じよ、こんなの!」
「いや、でもそれは」
「同じことばっか言ってないで、は、早く口開けて!」
「えっ、そ、それは」
「もーっ!!」
***
キリトが同じような言葉ばかり紡ぐ。
「もーっ!!」
あたしはついに大声で言った。
「な、なんだよいきなり」
開いたキリトの口に、すかさずケーキを放り込む。
「……1人で食べてたって、つまんないわよ。一緒に食べよ」
あたしの言葉に、キリトはこくこく頷いた。激しい同意、ではなく、思考回路がショートしてしまっているのだろう。
当然だ。あたしもショート寸前なのだ──どこかのアニメの主題歌ではないけれど。
あたしは赤くなっているであろう顔をふいっと反らして言った。
「明日、家庭科の調理実習でケーキ作るの。約束通りご馳走してあげるから、昼休みはちゃんと来なさいよね」
「ど、どこに?」
「うーん……あ、屋上。高等部校舎の屋上で待ってるわ」
「そ、そうか……」
キリトはにっと笑みを浮かべる。
「じゃ、楽しみにしているよリズベット君」
あたしがキリトに振り向いて貰うつもりだったのだが、あたしのキリトへの想いが深まるばかりであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ