暁 〜小説投稿サイト〜
私立アインクラッド学園
第二部 文化祭
第37話*新たな想い
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 訳:『キリトも食べる?』──といったところだろう。

「買えるわけないだろ……」

 ケーキ屋でリズベットが頼んだケーキの数はすざましく、俺の分まで買うお金なんてない。

「そうじゃなくて、あたしのこのケーキを食べるかって訊いてんのよ」

 そう言ってリズベットが差し出してきた皿に乗っているのは、食べかけのケーキ。

「いや、でもそれは」
「な、なに照れてんのよ! く、口に入っちゃえば同じよ、こんなの!」
「いや、でもそれは」
「同じことばっか言ってないで、は、早く口開けて!」
「えっ、そ、それは」
「もーっ!!」

 ***

 キリトが同じような言葉ばかり紡ぐ。

「もーっ!!」

 あたしはついに大声で言った。

「な、なんだよいきなり」

 開いたキリトの口に、すかさずケーキを放り込む。

「……1人で食べてたって、つまんないわよ。一緒に食べよ」

 あたしの言葉に、キリトはこくこく頷いた。激しい同意、ではなく、思考回路がショートしてしまっているのだろう。
 当然だ。あたしもショート寸前なのだ──どこかのアニメの主題歌ではないけれど。
 あたしは赤くなっているであろう顔をふいっと反らして言った。

「明日、家庭科の調理実習でケーキ作るの。約束通りご馳走してあげるから、昼休みはちゃんと来なさいよね」
「ど、どこに?」
「うーん……あ、屋上。高等部校舎の屋上で待ってるわ」
「そ、そうか……」

 キリトはにっと笑みを浮かべる。

「じゃ、楽しみにしているよリズベット君」

 あたしがキリトに振り向いて貰うつもりだったのだが、あたしのキリトへの想いが深まるばかりであった。

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