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おいおい、そういうのは早めにして置けよ」
「そんなこと言ってないで早く!あなた参加するんでしょ!?早く乗って!」

 シノンは相当焦っている。それだけ今回のBoBに大きな意味があるのだろう。

「おい、早くお前も乗れ!」
「は、はい!」

 そう言うとシノンの後ろに乗る。それを確認すると急発進する。

「舌かむなよ!」

 そして、そのまま人は勝手に道を開けて行くのでその間をどんどん進んでいく。それにバギーのエンジンの馬力も上げているので三人乗せても結構なスピードで進むことが出来ている。ほんの数分で総督府の手前につくとバギーを横スライドさせながら停車させた。

「着いたぞ!」
「ありがとう!さあ、あなたも急いで!」

 そう言ってシノンともう一人の少女をそのまま、見送る。これで何とかなるだろうとそのまま自分も総督府の中に入ろうとすると一人の男に呼び止められた。

「ゲツガ」
「ん、この声はシュピゲールか?」

 振り向くとそこには案の定、シュピゲールがいた。この男は以前にシノンから紹介してもらったのだが、自分は普通に接しているつもりなのにあちらの目からは敵意を持った視線で見られているため、何かと苦手である。そのシュピゲールが自分から話しかけてくるのは珍しいため、首をかしげながら聞いた。

「何かようか?」
「用はないよ。ただ、今回の大会に出るのか聞きたくってね?」
「ああ、今回は出るぜ。シノンとアウラも出るって言ってたぞ」
「シノンは知ってるさ。そうか、君も出るんだね……大会がとても楽しみになってきたよ」

 その言葉を言ったときのシュピゲールの目が僅かに何かにごったように感じ、背筋に悪寒を覚える。

「そうか、何でそんなに楽しみになるんだ?」
「さあね」

 そう言ったシュピゲールはそれ以上何も告げずにそのまま総督府の中に入っていた。そして、シュピゲールのあの言葉に違和感を覚えながら自分も総督府に入ろうとする。しかし、少し考え事をしていたせいか、誰かとぶつかってしまう。

「すまん」

 そう言って立ち去ろうとするが、その男は自分の肩を掴んで来て引き止めてきた。その男はフード付きのマントにガスマスクのようなものをつけて顔がかくてている不気味な特徴のあるプレイヤーであった。

「なんだよ」
「ゲツガ……」

 自分の名前を聞いた瞬間、僅かに眉を寄せて払うように肩を掴んでいた手をどかす。

「名乗った覚えもないのに俺の名前を知ってるなんて俺は有名人になったんだな。今は名が売れてるなんて嬉しいことだけどな」
「……てめぇはあのゲツガか……」

 それを聞いた瞬間、本能的にその人物から離れてホルスターに納められているベレッタと腰にあるハンティングナイフに手を掛けた。

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