第1章 僕と文月学園。
十時間目 失いすぎた少年
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明久side
「おい、今お前なんていった?」
ヤバイ、蒼空が切れた。
「は?」
どうやら根本くんには危機察知能力が足りないらしい。
「てめぇがなんて言ったか、って聞いてんだよ!」
完璧にブチ切れている。
あの時はまだ完璧に切れてはいなかったけど、今回は完璧に切れている。
「お前なんかより俺の方が、戦争で負けて、殴られて、よっぽど不幸だって言ったんだよ」
根本くんは蒼空を小馬鹿にしたような声で言う。
蒼空の顔が怒りで歪む。
本当に根本くんを殴りたくなったが、それどころではない。
「蒼空、落ち着け!」
雄二が一喝する。
だけど蒼空はそのまま根本くんへと歩いて向かっている。
聞こえてないの....?
どうやらそうらしい。
姫路さんや美波、秀吉まで声を上げて止めようとしているが、
躊躇の仕草さえ見せない。
「お、落ち着け」
勇気のある、Bクラスの人数人が蒼空を止めようと、蒼空の前に出るけど、その全員を軽く払いながら根本くんの方に向かっている
「お前が!今まで幸せな一般家庭で育ってきたお前が!俺にそんなセリフを吐くのか!もう1度言って見ろ!俺より誰が不幸だって!?ああ!?」
ついに一蒼空の手が根本くんの襟を掴む。
「オレだよ」
相変わらず、根本くんは蒼空を小馬鹿にしたような口調で言う。
「じゃあ聞くけどよ!お前に家族はいないのか!今まで楽しく暮らしていた家を誰かに取られたりしたか!?大切な人の形見を誰かに破壊されたりしたか!」
え...?
じゃあ、あのシャープって、誰かの形見...?
確かにあの時の蒼空の怒り方を考えればありえる。
「そんなこと、あるわけねえだろ....」
根本くんもさすがに怯えてきているのか、声が小さくなってきてしまっている。
「俺はなぁ!たった一回の事故で、親も!姉弟も!友達も!仲間も!家も!金も!未来も!すべて奪われてんだよ!
たった一回だぞ!?そのたった一回で!俺はすべてを失った!
お前に!人の苦しみも何も知ろうとしないお前に!俺の気持ちがわかるか!?そして、これでもお前は俺なんかより不幸だって思うのか!」
「「「「「っ!!」」」」」
いくら僕でも、今蒼空が行っているのが本当だということがわかる。
嘘だったらとしたら、あんなに涙を流しながら、言う訳がないだろう。
「ッ!それは....」
「はっきり答えろォォォォォォォ!」
蒼空が拳を振り上げて、殴ろうとしている。
あれくらったら、いくらなんでもやばいよ...。
やるしかないか...。
少々不本意だが、蒼空に向かって飛び込む!
そして右手を押さえつける。
「どけっ!明久っ!」
「どかないよ!―雄二っ!」
「ああ」
雄二にも協力を促す。
すると、雄二は左
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