6-1話
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死んでますよ……皆―――」
投げやりな言葉が水を差した。
捨て鉢な台詞を吐いたのは大森だった。
可能性だと思って模索する真理谷よりも、願望で目を背ける仙石よりも、強く絶望していた彼女はまだ見ぬ人達の生存を断じた。
「私達だって、その内喰べられて……」
「ば、馬鹿言ってんじゃねえよ。 すぐに救助が来て…」
「救助が来るまで私達が生きている保証があるんですか!?」
森の静寂を壊すように、声を張り上げる。
仙石の願望の言葉は、大森にとっては何の慰めにもならず心のバランスを壊してしまう。
自身を守れない事による生命の危機は、悲鳴のように涙と鬼気迫る形相を振りまく。
「無責任な事言わないでッ! こんな所、生きて出られるわけがない、明日にだって死ぬかもしれない! 喰われるかも知れない! もう…私達は生きて帰れないんですよ! 喰われて、そして死んじゃうんです! ここで! こんな場所でッ! 死んでしまうしかないんですよッ―――!!」
仙石と真理谷は何も言えなかった。
大森が言う言葉はとても当たり前にして望み薄な現実を叩きつけられて、願望と可能性で言い繕う二人は返す言葉が見つからなかった。
目から光を失わせる大森の嗚咽だけが響く。
三人の心は軋みながら夜は更ける。
―――。
「………」
「………」
「………」
虚ろながらに三人は寝床を作り、打ち拉がれたまま眠りに付いた。
だけど仙石は天蓋のような夜空を見上げながら、思考を渦巻かせていた。
恐怖に追い立てられ、絶望的な未来にイメージし、どうしていいかわからない頭は次第に思考力を失わせてくる。
眠気の事もあり、どんどん色んな事が忘れていく。
そして最後には帰結するのは、仙石の中でシンプルにまとまっている日常だった。
「オレ…学校じゃまるっきりザコでさ……」
草を敷いた寝床に横になりながら、仙石は呟いた。
虫の鳴き声に混じるようなか細い独り言。
誰に聞かせるでもなく、仙石は自分自身の心に語りかけていた。
「勉強はできねーし、女子にはバカバカ言われて嫌われてるし…三年続けたバレーも結局は補欠止まり…」
ホント…良い所ないよな、と仙石は自分で自分を嘲る。
誰かに胸を張れるほど誇れるものがないから、毎日がつまらなくて誰よりも仙石アキラの事が不満だった。
「親友にも幼馴染にも、何やったって敵わない。 こんなオレが変われないんなら―――こんな世界なんて変わっちまえ、ってさ………なんとなく…そんな事思ってたよ」
思っていた。
ちっぽけな人生をリセットしてでも変わりたい/変えたいという願望は、形を変えてそれを叶えた。
「けどさ
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