マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
BRAVEBALL
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そのまま29層に向かった。ただし、例外としてセイン達は戻ってきた。
とは言っても特別やることは無く適当に駄弁っているだけだったが、やがて人数も減ってきた所でイベント(と言うと失礼かもしれないが)が発生した。
「なあ……あれ」
「見るな。いいとこなんだから。邪魔は無粋だぜ?」
「旦那、あんた完全に楽しんでんな……」
俺、キリト、ハンニャで駄弁っていた時、少し離れた所でそれは起こった。
3人が注意を向けたその先にはウンディーネが2人、セインとシウネーだ。見るなと言いつつ、注意を向けている時点で言動が一致してないも同然だが、気にするなという方が無理な話だ。
「あの、セインさん……」
「はい、何ですか?」
微妙に頬を染めながら緊張したように声をかけるシウネーにセインは素で返している。
2人の目の前に広がる湖は月光を反射し、家が建っている丘の周りの木々の間からチラチラと入ってくる。2人の淡い青色の髪にそれが反射する光景はとても幻想的だ。
「その……きょ、今日、ボス戦の時、助けて頂いてありがとうございました!」
「え?ああ……。どういたしまして。あれは危なかったですよねー。まさか取り巻きを倒すとボス戦が終わらないなんて」
「はい、びっくりしました……。あんな事もあるんですね」
「僕の知る限り初めての事例ですけど……。いい教訓になりましたよ」
(焦れったいな!?)
まるでキリアスコンビの再来だ。などと脳内で悶々としていると、いつの間にか横にアスナとユウキが湧いた。
「へぇ〜。シウネーってセインさんのこと好きなんだ」
「うんうん。お似合いだよね、あの2人」
キャイキャイ。
湧いたガールズに押し退けられるように男3人はそこから離れ、前庭の簡易テーブルに落ち着いた。
「さて、どうしてくれようか」
「お前、さっきそっとしておけみたいなこと言ったじゃん!」
「阿呆。『邪魔』はするなって言っただけ。他ならオッケー」
「放っておくって選択肢はないのかい……」
「無いな。セインはキリトと同じ匂いがする。気づかせないと、ぜっっったい気づかない」
キリトは前科があるため反論できず、ハンニャはそれで「なるほど」と言って納得する。
……これは余計な事なのかもしれない。スリーピングナイツのメンバーは全員が何らかの難病を患っていて明日も知れぬ身なのだ。俺の行いがセインを、シウネーを傷つける事になるかもしれない。いや、確実にそうなる。
だが、それでも……
(……それでも何かしてやりたい。最後の瞬間を、満ち足りたものにしてやりたい……)
これは俺の我が儘か、自己満のアルトイズムか…………。それでもいい。どんな謗りでも罵
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