ひたぎ「支配者のポーーーーーズ」
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生して、目の前に自分が支配する民衆が跪いている様子を想像するの」
「な、なるほど…」
僕の趣味とはほど遠いのだが、ここで無意味に終わらせるのもなんだか悔しいと思い、目の前で跪く愚かな民衆とやらを想像してみた。
――中世ヨーロッパ(仮定)に佇む巨大な宮殿。
その2階テラスから町の広場を見下ろすと、そこには服の破けた貧民から金銀を着飾った貴族まで、全ての民が、一心に、躊躇うことなく。
僕のために土下座をしていた。
その光景を、ワイングラス片手に眺める王――すなわち僕。
かすかに漂うブドウの香りを楽しみながら、僕は今日もこの国を支配していく。
思いのままに、気の向くままに、全てを統括する支配者として。
――壮大な世界が広がった。
「すげええええええええ! なんだよこれ、支配者のポーズなんてただの一発ネタか胡散臭い似非ヨガか何かかと思ってたけど、これはすげえ! ただ決まった姿勢をとっただけなのに、マジで世紀末の頂点に立った気がしたぜ! マジですげぇぱねえよこれ! こんな快感は一生忘れられない! ありがとうな戦場ヶ原ァ!」
僕は爛々と目を輝かせて戦場ヶ原を見た。
「ままー、あのお兄ちゃんなにしてるのー?」
「シッ、見ちゃいけません!」
見たはずだったのだが。
我に返って見渡せば、戦場ヶ原は電柱の陰に隠れ僕を見ていた。
蔑むような視線を送り、とびっきりの軽蔑を込めて、妙なポーズを決め嬉しそうに意味不明な独り言を語る僕を見て、戦場ヶ原は問いかけた。
「阿良々木くん……あなた何してるの?」
その時、僕はほんの少しだけ清々しい気分になったような気がした。
おわれ
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