第一部
開戦
Sentiment
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起き抜けにいろいろなことが起こり過ぎて何がなんだか訳が分からない。
目が覚めたら知らない部屋だし、着ているのは戦闘服だし、イタイことを言うドレスの女性もいるし。訳が分からない。
「えっと、なに?」
「勇者様、この国を──。」
「イヤイヤ、の前にここどこよ。」
再びイタい事を言い出したがそれを遮って質問する。
「ここはペテルチア王国、豊かな国です。」
ペテルチア王国、聞いたことも見たこともない。そんな国は知らない。その前に日本ではないのか?
「日本じゃないの?」
「ニホン、とは?」
は?日本を知らない?あれ程の技術大国をしらないと?
「勇者様、ペテルチア王k──。」
「だぁー!うるさーい!ちょっと一人にさせて!」
またまたイタい事を言い出すが、大声で遮り追い出す。
女性は静かに出て行いった。
一息ついて呼吸を整える。まずは状況整理だ。
どう言うわけかここは日本ではなくペテルチア王国とかいうところ。
着ているものはパジャマでなく迷彩服。時間帯は朝。
昨日は水曜日で英語があって、夕食は中華丼を食べながらパパと政治の話をして、お風呂に入って、ベッドに潜り込んで……。
記憶がない。何も。
なら、これは夢?ワタシが勇者の夢物語?ははっ。なんて良くできた夢だろうか。
つねってみようか。
「……痛い。」
いや、痛覚のある夢もあると聞いたことがある。なにかなにか。
どうしたら覚めるの?この夢は。
なにか寒い。
いや、もう覚めて。
こんな夢はイヤ。パパと‘ママ’がいる夢ならよかった。
……パパ……──。
すすり泣く声が聞こえる。この扉の向こうから。
奇妙な格好をしたあの女の子が本当に「勇者様」なのか?
私にはそうは思えない。
まだ幼いこどもを政治の世界に出すことなど出来ない。でも神祇官は召還に成功したと我々王族に報告した。そして、世話役として末姫の私に白羽の矢がたった。
どのみちどこかの貴族に嫁ぐしか道のない人生。ここで一花咲かせて散ろうと考えていた。
もし、男性の勇者様なら慰め者になってもよかった。顔も知らぬ男よりはずっとましだ。
だが、召還されたのは一人の少女。これでは私の計画が。
モノの善悪も定かでない女の子にさせるのは酷だ。
使い潰せない。こんな子どもで国難を排してもこの国は良くならない。むしろ幼い子どもまで使う鬼畜な国家として国民に思われ、反乱の種が芽吹いてしまう。それだけは避けなければ。
計画は完遂させる。何が何でも。
「おじい様のためにも奴隷は撤廃させない。」
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