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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第13話 現われたのは炎の邪鳥ですよ?
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収集だけでもどうにかなるんじゃないの?」

 如何にも急ごしらえの聖域……注連縄の前に立ち止まったハクに対して、最後の問い掛けを行うシノブ。
 そう。今、祭壇の上に並べられた御供え物の内、お米以外は白娘子(パイニャンニャン)の加護の元、東の河から集めて来た魚と、北の森から集めて来た果物。彼女……、破壊神の少女シノブの言うように、しばらくの間は持たせられるのは確実でしょう。

 但し、彼女自身にもこの程度の言葉でハクが思い止まるとは思って居なかったのは間違いない。

 何故ならば、少し首を横に振った後、

「この日照りはおそらく何らかの霊障。何か策を打って置かなければ、別の形で何らかの不都合な事態が起きて来る可能性が高いと思います」

 真っ直ぐにシノブの事を見つめ返しながら、そう答えるハク。別に意気込む訳でもなければ、緊張で肩に力が入り過ぎたような状態でもない、普段通りの彼女の雰囲気で……。
 まして、今朝、誰も気付かぬ内に美月の部屋に届けられて居た契約書類(ギアスロール)が、この雨乞いが無事に終わらない事の証明と成っていたのは間違いない。

 但し……。
 但し、それ以上は何も口にしなかったハク。

 そう。本来ならば、この眼前の少女神。……伝説に語られる破壊神にして創造神に頼めば、雨を降らせるぐらいは訳がないかも知れない。しかし、彼女はそんな事はオクビにも出す事もなく、再び視線を注連縄に囲まれた聖域に目を向ける。
 其処には、先にやって来て準備を行って居たはずの金髪碧眼、側頭部の上部にシニオンをふたつ……判り易く説明すると、金髪お団子頭のこのコミュニティのリーダーの巫女服と、白蛇の精。そして、聖域の維持を行う白猫の姿が有ったのでした。


☆★☆★☆


「なぁ、ハク。ホンマに、雨乞いなんて言う無茶な事をする心算なのか?」

 猫のクセに妙な常識人ぶりを発揮する白猫のタマが、祭壇の下からハクを上目使いに見上げるようにしながら、そう問い掛けて来る。
 ちゃんとお座りを行い、やや小首を傾けるような仕草で。

 当然のようにその言葉は、ここに居る全員の代弁。

 そんな白猫を抱き上げ、自らの肩の上に座らせるハク。白衣と白猫。そして、彼女の長い黒髪のコントラストが、強い光りに支配された世界で一枚の絵画を思わせるようで有った。

「陰と陽の均衡が崩れ、陽が勝ち過ぎて居るこの状況は異常過ぎます。この状況を放置すれば、更なる何か危険な事件が起きる可能性も高く成りますから」

 そうして、先ほどシノブに話した内容を、彼女に相応しい柔らかな春の表情で告げるハク。

 そんな彼女の事を心配げに見つめる美月。美月に関しては、この雨乞いに関しては、最初からやや否定的な様子。
 但し、それでも尚、この
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