暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
七話 「日々の鍛練」
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熱めの湯だが疲れた体には妙に気持ちいい。まさしく溶ける様な心持ちである。
 そのまま湯の中で緊張している腕や足の肉を揉む。筋肉の痛みを和らげるのには大切な行為だ。詳しい知識が無いので拙い物だが、しないよりはましだという程度だろうが。
 ゆっくりと、つま先から順々に脹脛、太もも。腕の方も二の腕、上腕と力をそう入れず柔らかく揉む。ついでに腹も揉んどくか。やわらけー。

(痛みを感じるってのも、筋肉痛になってるわけだからある程度は良い事なんだよな。いらん怪我してるわけじゃない)

 超回復イエー、と何の気なしに脳内で思う。
 外面的に怪我したら、おっさんへの説明がめんどくなってしまう。そのためにも組手の際などは首から上とかは狙わないようにしている。白には遠慮なく狙わせてるが。

 おっさんは今は家にはいない。
 いない、というかまだ帰って来ていないだけだが。
 波の国に着いて二週間ぐらいして、おっさんは何か仕事を始めた。
 何を思ってかは知らんが、何でも金稼ぎをしないわけにもならんし、何もしてないのもあれだからとからしい。
 金自体はある程度普通に過ごす分にはあるらしいが、それ自体はもともと自分一人用で考えていた分らしい。なんでも、俺の事を知ったのは出かける準備して日を決めようとした頃だったそうだ。それまで親とはそんなに会ってなかったとか。
 今の現状では後々の事を考えると少ないらしく、死んだ俺の親が残した分も結構あり、大丈夫らしいが流石に稼いでおくに越したことはないらしい。申し訳ない事だ。まあ、そう続く事でもないのでいいだろうとか思ってる。
 仕事内容は外との繋がりで交易染みた事とからしいが、詳しくは聞かなかったので分からない。そこまで本腰入れてるわけではないようで帰るのが遅い時もあれば、早い時もあるし何もしない時もあるみたいだ。

(会う時間減ったなそういや、申し訳ない事だ。二人分増えたわけだしなぁ。親の金からいくら貰ったんだろ)

 家にいることが少なくなったように思う。まあ、時々手伝わされるがそれくらいは手伝うべきなのだろう。
 そんな考えが湯の熱さに溶ける様につらつらと考えられ、形にならないまま次々に流れていく。
 そろそろ出よう。そう思い、風呂から出てさっさと服を着て脱衣所から出る。
 おっさんの姿が視界に映る。どうやら、入ってる間に帰っていたらしい。

「おう、これ美味いな。ご苦労さん」

 勝手に羊羹食ってやがった。あんたの為に買って来たんじゃねぇぞこの野郎。
 羊羹を前に、楊枝に挿したそれを持ちながら言うおっさんに思う。

「僕も食べます。白も無くなる前に食べとけ」
「いいんですか?」
「悪いわけないだろう」

 言い、楊枝を羊羹に挿す。
 おっさんが用意したのか、置いてある急須
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