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弱者の足掻き
七話 「日々の鍛練」
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 それと、何か小さく切られたのも出てきた。

「試作だからな、食べて感想おくれな」
「そういうことなら、いただきます」

 楊枝に挿し、口に運ぶ。

「美味い……」

 くどくない。
 普通の羊羹なら濃い甘さがあり、お茶でも欲しくなる。だが、これは甘さがありながら食べた後にそれが口に残りにくい。流れていくようだ。
 水羊羹みたいな物のように感じる。
 もっとも、残りにくいというだけで、子供の体にとってはまだ甘さが残るが。

「食べやすいです」
「そうだろう。子供でもそうなら、手軽に食べられるな。ありがとよ」

 帰ったらお茶と一緒に食べるか。
 爪楊枝を返し、店を去る。
 用も終わったし、調べることも特にないのでさっさと町を抜けて家へと向かう。
 
 調べる事、といえばタズナの家はもうみつかった。
 職人として知られているらしく、ある程度聞いて回ったら直ぐに分かった。
 家を遠目に見に行ったし、家族も見た。
 タズナの孫、イナリもいることが確認できた。歳も分かった。
 それと木の葉の事件もいつ頃かある程度分かり、今が原作何年前なのかの推測も立った。
 その結果、数年は特に何もしなくていいことが分かったので安心して鍛錬に励むとしよう。
 せいぜいイナリとカイザの邂逅を潰さないようにね。





 家に帰り、中に入る。

「あ、お帰りなさい」

 椅子に座っていた白が迎える。

「ただいま。おっさんは?」
「まだ帰っていません」

 そうかい、と返事を返す。
 羊羹の包装を剥がし、お茶でも頼もうかと思い白を見る。

「……風呂でも入ったのか?」

 今更だが何か服が変わってる様な気がするし、髪も黒が濃くなって艶がある気がする。
 まあ、肌がほんのり赤みをおびているのもあるが。
 それに対し、分かりますか、と白は小さく笑う。

「服が汚れていましたし、汗で風邪をひかない様にと言われましたので。つい先ほど出たばかりです」
「温めるのは良い事だよ。なら俺も軽く汚れ流すか」

 聞くと、湯は入れたらしい。
 まあ白が帰ってから今まで時間はあったし、時間も時間だ。それに汚れを流すためにも必要だろうさね。疲れてた体でよくやったものだ。
 本来は交代制だが、もはやそれは形ばかりでいる奴がするみたいな形になっている。
 正直シャワーだけで個人的には良いのだが、湯船につからんと翌日筋肉痛で死ぬので大事なのだ。
 まあ、浸かっても軽くなるだけだが。
 適当に着替えを持ち、脱衣場に入る。
 そのままさっさと服を脱ぐ。

(脱ぐ時、普通にしてる時より妙に痛みを感じるのはなんなんだろうマジで……)

 風呂に入る。
 まず簡単に体を流し、湯船につかる。
 
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