七話 「日々の鍛練」
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子供だからか体は十分に柔らかい。だが、あくまでもそれは歳の為。何もしなければ段々固くなってくるだろう。
体を動かす戦いの際にはどれだけ体が動かせるのかは大切だ。体が硬いせいで避けられない、なんてなったら笑えん。
そのためにも、こういった事をしておくのは大切だろうと思う。地道な事だが、そういった事が必要になることは多い……といいなぁ。
一通り終わり、白と交代する。風呂上りではないが、まあしないよりは良いだろう。そこまできつくするわけではないし。
白の背中を押しながら、適当に会話する。
「帰ってから何してたんだ」
「ん〜〜。本を、ふう、読んでまし、た。んっん、んー」
何のかは分からないが、教材だろう。熱心で助かる。
白は足を広げ、片方ずつ体を倒していく。凄く柔らかい。
そのまま柔軟を続け、ほどほどな所で止める。
さてどうしよう。やることが無い。
子供だという事を考えても、まだ寝るには早すぎる時間である。
「何かしたい事あるか」
「本が読んでいる途中でしたので、その続きを読もうかと」
……何か読むか。
カバンを漁り、適当に本を掴んで寝っころがる。
見れば、白は座って何か読んでいる。
「何か分からない所あれば言ってくれ」
「はい。その時はお願いします」
ある程度までは答えられるし、白の理解力は高いから大丈夫だろう。
髪を掻き上げながら静かにページを見続ける白を横目に、自分の本に目を通していく。
つい、あくびが出てしまう。今日は、一人での鍛錬にいつも以上力を入れ体を酷使してしまった。
その理由を思いながら、ページを捲った。
一つページを読み終わり、次に進もうと指を動かす。紙同士がこすれ合う独特な、けれど決して不快ではない静かな音が空に響く。
読み続けていく内に、ふと文の一説に目が止まる。
もう一度目を通すが、読んだ内容が頭の中で形を得ず、あやふやになってしまう。上手く理解できていないのだ。
文の最初から読み返すが、少し感触は良くなったがやはり上手く形を得ない。いくつか読めない漢字があることも理由なのだろう。
感覚からして恐らく何度も読めばゆっくりとだが段々と理解できていくのだろうとは思う。だが、やはり正確性に欠けるかもしれない。
そう思い、顔を上げて口を開く。
「いつ……」
視線の先、呼ぼうとした相手が目を閉じているのに気づき白は声を止める。
恐らく、読んでいる途中で寝てしまったのだろう。放り出された右手には閉じられた本があり、まるで栞の様に指が刺さっている。いや、閉じられているといった方が正しいのか。
(……疲れてるのかな。起こすのは止めよう)
このまま分からなければ明日聞こう。
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