暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜悪夢編
第三十四話 擂り潰してやるさ
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


帝国暦 488年 4月 10日  帝国軍総旗艦  ブリュンヒルト  ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ



オフレッサー上級大将が捕獲された。司令長官がロイエンタール、ミッターマイヤー両提督に“戦うのではなく獰猛な獣を捕獲するのだと思って下さい”と指示を出して直ぐの事だった。両提督は落とし穴を作ってそこにオフレッサー上級大将を誘い込んだらしい。落とし穴とかって確かに戦闘というより狩りよね。

オフレッサー上級大将が捕獲されると第六通路はあっという間に両提督に制圧され核融合炉も制圧された。それによってレンテンベルク要塞の守備部隊は降伏、要塞は討伐軍側の所有物になった。今後は討伐軍側の根拠地の一つとして機能する事になる。司令長官はオーディンと討伐軍の中継基地として役立ってくれるだろうと言っている。

降伏した守備部隊には意外な人物が居た。あの軍法会議で爵位を失ったフレーゲル元男爵達八人の貴族。なんかもうブラウンシュバイク公も完全に彼らを厄介者扱いしているらしい。そんなわけで居辛くなってレンテンベルク要塞に逃げ出したようだ。それを聞いた司令長官は溜息を吐いた。“道理であの連中が攻めてこないわけだ、これでは鎮圧に時間がかかる……”。ウンザリって感じだった。

これからオフレッサー上級大将がブリュンヒルトにやってくる。司令長官が連れてくるようにとロイエンタール、ミッターマイヤー両提督に命じたんだけど一体どうするのか……。あれだけ司令長官を罵倒したんだから或いは自分の手で殺すとか……。ニコニコしながら喉を掻っ切るとか、有りそうにも思えるし無さそうにも思える。

キルヒアイス少佐が仕事をしている。ちょっと元気がない、精彩を欠いている。まあいつも一緒のミューゼル少将が居ないから仕方ないのかな。でもね、あれはちょっと……、いくらなんでもロイエンタール、ミッターマイヤー両提督の前で俺にやらせろって……。あれを聞いた時は眼が点になったわよ、何考えてるんだろうって。

二十四時間自室で待機、已むを得ないわね。あんなの有耶無耶にしたら提督達の信頼を失いかねない。それとも少佐は自分が叱責された事で落ち込んでいるのかな。そっちも有りそうね、皆の前でお前はミューゼル少将の御守りじゃないって怒られたんだから。あの時の司令長官は冷たい眼でキルヒアイス少佐を見ていた。

それにしても閣下の口調にはヒヤリとしたわ、多分私だけじゃない、総司令部の皆がそれを感じたはず。皆、肩を竦めるようにして閣下の言葉を聞いていた。司令長官は外見からはそうは見えないけど内面にはかなり激しいものが有る。その激しさは熱い激しさじゃない、冷たい激しさだと思う、言ってみれば炎では無く氷の激しさ。

だから怒る時は冷徹な怒りになる。ミューゼル少将に、そしてキルヒアイス少佐に対してそ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ