第三十四話 擂り潰してやるさ
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道化としては一流だったようです。職業を間違いましたね」
司令長官がクスッと笑うと上級大将が顔面を朱に染めた。
「貴様……」
「ガイエスブルクに戻りなさい。そこで私を待つのです、オフレッサー上級大将」
「……後悔するぞ、儒子(こぞう)」
オフレッサー上級大将が喰い付きそうな目で司令長官を睨んでいる。
「卿も落とし穴に落ちないように気を付けるのですね」
「……俺を殺さなかった事を必ず後悔させてやる! 必ずだ!」
司令長官はシュトラウス准将、レフォルト准将を呼ぶとオフレッサー上級大将に連絡艇を与えて解放するようにと命令した。二人がロイエンタール、ミッターマイヤー両提督からオフレッサー上級大将を受け取った。上級大将を両脇から挟みこんで艦橋から連れ出す。その間、オフレッサー上級大将は何度も首を後ろへ回し司令長官を見た。
「閣下、宜しかったのですか?」
「オフレッサーがガイエスブルク要塞に居るとなれば厄介な事になりかねませんが……」
ロイエンタール、ミッターマイヤー両提督が問い掛けてきたのはオフレッサー上級大将が艦橋から立ち去ってからだった。
司令長官がメックリンガー総参謀長に視線を向けると総参謀長も
「小官も賛成できません。今からでも取り止めては如何でしょう」
と提案した。うん、取り消しはちょっと酷いけどあの狂戦士が暴れまくったら確かに大変、気持ちは分かる。でも司令長官は苦笑を浮かべると別な事を話し始めた。
「例の八人は何処に」
「レンテンベルク要塞に留めておりますが」
「ブリュンヒルトに移送してください。他の捕虜はオーディンに移送を。ロイエンタール艦隊、ミッターマイヤー艦隊はレンテンベルグ要塞で十分な休息を取ってから戦列に復帰するように。本隊は先に進みます」
司令長官の指示にロイエンタール、ミッターマイヤー両提督が頷いた。でもちょっと不満そうだ、オフレッサー上級大将の件が納得出来ないのだろう。
「総参謀長、例の八人を受け取ったら個別に監禁してください。それとガイエスブルク要塞にその八人を処刑したと伝えてください」
三人が、いや皆が訝しげな表情をしている。
「貴族が八人殺されたにもかかわらずオフレッサーだけが戻ってきた。しかも逃げて来たのではなく解放されて戻ってきた。猜疑心の強い貴族達がどう思うか……」
「……」
「オフレッサーは、いや貴族達は私の仕掛けた落とし穴を避ける事が出来るかな」
皆が沈黙した。司令長官は薄い笑みを浮かべている。
「オフレッサーをここで殺してしまえば貴族達にとっては殉教者になりかねません。彼らの結束が強まりかねないのです。しかし裏切り者として処分されれば元々が寄せ集めの貴族連合はさらに結束が弱まります。いささか小細工ではありますが出来るだけ損害を少なくし短期間に勝
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