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銀河英雄伝説〜悪夢編
第三十四話 擂り潰してやるさ
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れが出た……。例え身内でも許さない、身内だからと言って特別扱いしない、そんな感じかな。そんな事をしたら門閥貴族と同じだもの、司令長官が怒るのも無理ないわよ。

総旗艦ブリュンヒルトの艦橋にオフレッサー上級大将が現れた。両脇にロイエンタール、ミッターマイヤー両提督が付いている。上級大将は装甲服を脱ぎインナースーツのみになっていた。そして両手両足に拘束具として枷を付けている。枷の所為だろう、三人はゆっくりと司令長官に近づいて来る。それを見て司令長官が指揮官席から立ち上がった。座ったまま待つのは礼を失していると思ったのだろう。

オフレッサー上級大将に悪びれた様子はない、昂然と顔を上げて歩いて来る。殺される恐怖とかは感じていないらしい。司令長官は面白そうな表情で近づいてくる彼を見ていた。そして司令長官から三メートル程離れた位置で両脇の提督達が上級大将がそれ以上近付くのを止めた。これ以上は枷を付けていても危険だと思ったのだろう。

「ロイエンタール提督、ミッターマイヤー提督、御苦労でした。卿らの働きのおかげでレンテンベルク要塞を落とす事が出来ました、よくやってくれました」
司令長官が二人の提督を労うと二人がほんの少しバツの悪そうな表情を浮かべた。

「いえ、手際が悪く思ったよりも時間がかかってしまいました。司令長官に御心配をお掛けした事、恥じ入るばかりです」
「司令長官の御指示、有難うございました。あれで発想を変える事が出来ました。感謝しております」

二人が口々に礼を言うと司令長官が“自分はちょっと感じた事を言ったまで、そんなに礼を言われるようなことではありません”と言って少し照れたような表情を見せた。総司令部の皆がちょっと羨ましそうな表情をしている。司令長官に労って貰うってやっぱり羨ましいのだと思う。

司令長官がオフレッサー上級大将に視線を向けた。どういう言葉が出るのか、皆がかたずを飲んで注目した。
「オフレッサー上級大将、降伏しなさい」
司令長官の言葉をオフレッサー上級大将が一笑に付した。

「断る。誰が卿の様な儒子(こぞう)に降伏するか、殺せ。俺は勇者だ、死ぬ事を怖れてはおらん」
司令長官を侮辱された事で総司令部の士官達がざわめいた。でも司令長官本人は不愉快そうな様子は見せていない。
「殺すのは惜しい、……ではガイエスブルクに戻りなさい」
艦橋がどよめいた。ロイエンタール、ミッターマイヤー両提督が反対しようとしたけど司令長官が手を軽く上げて制した。

「どういうつもりだ、儒子(こぞう)?」
オフレッサー上級大将が唸るような口調で問い掛けた。
「言った通りです、卿のように愉快な人間を殺すのは惜しいと思うのですよ。悪態を吐いた揚句落とし穴に落ちる……、笑わせて貰いました。卿は装甲擲弾兵の指揮官としては二流ですが
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