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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-43女王の国で
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言え、いつまでいれば良いのでしょう」
「ブロンズの十字架、とか言ってたかしらねえ。聞く限り、貴重なものというよりは、名誉なものみたいだったけれど。あたしたちが盗ってないのはもちろんだけれど、他に盗るような人がいるものでも、無い気がするけれどねえ。」
「わたしたち。どろぼうと、思われてるのね」
取り乱すことも無く淡々と語り合う一行に牢番の兵士が当惑の視線を向け、そうこうするうちに衛兵が再び現れる。
「女王陛下がお呼びだ。申し開きがあれば、そこでするがいい」
衛兵に引っ立てられ、再び女王の御前に姿を現した一行に、女王が冷徹な表情に僅かに動揺を走らせ、衛兵がざわめく。
「皆さんは……!すぐに、縄を解きなさい」
「は?しかし」
「命令です。今すぐ、縄を解くのです」
すぐに動揺を収め、冷静に指示する女王に一行を引っ立ててきた衛兵が反論しかけるが、有無を言わせず再度指示するのに渋々ながら拘束する縄を解く。
それを見届け、女王がアリーナに向かい口を開く。
「知らぬこととは言え、御無礼を致しました。お許しください」
「いえ、構いません。状況から言えば、仕方の無いことでしょう。忍ぶ旅であり、公式な訪問では無い以上、一介の旅人として扱われるのが当然」
「そう言って頂けると。ならば、おわかりでしょうが」
「はい。女王陛下として、容疑者を裁かれる必要がありますね」
「はい。皆さんには、我が城に仕えるシスターの自室に侵入し、ブロンズの十字架を盗み出した疑いが掛けられています」
「……犯人と
思
(
おぼ
)
しき男の口車に乗せられ、うかうかと部屋に入り込んでしまったのは事実です。しかし、そのブロンズの十字架にしろ、他の何かにしろ。盗みを働いたという事実は、ありません」
堂々と言い切るアリーナを前に、女王が溜め息を吐く。
「……当然、そう言われるでしょうね。しかし、証拠が無い以上は。女王として、鵜呑みにする訳には参りません」
「勿論、そうでしょう。事実を主張する以外に、我々に示せる証拠はありません。……どうすれば、我々が無実を証明できるとお考えですか。女王陛下」
女王を真っ直ぐに見据え、肩書きを強調するように呼び掛けるアリーナを、真っ直ぐに見返して女王が答える。
「……真犯人を。皆さんを陥れたというその男を捕らえることが出来れば、皆さんの疑いは晴れ、すぐにも解放することが出来るでしょう。しかし既に城内の捜索は終わり、怪しい者が見つかっていない以上、捜索は難航するでしょう。客観的に見て皆さん以上に怪しい者がいない現在、積極的に捜索を続ける理由もありません」
「ならば、我々に機会を。真犯人を捕らえ、この場に引き立てる機会を頂けませんか。女王陛下」
あくまで真っ直ぐに女王の瞳を見据え、視線を
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