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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-43女王の国で
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「兜のときは、わかりやすかったけど。盾ならきっと、あんな風にはならないものね」
「大きさがわかりやすく変わるということは、確かに無いだろうな」
「ならば、当面この国に用はありませんな。女王陛下の言われる通り、ともかくこの城は出るとしましょう」

 話がまとまりかけたところで、閉め切っていた部屋の扉が開かれる。

 男が戻ってきたのかとそちらに目を向ける一行の視線の先ではひとりのシスターが立ち尽くし、声を荒げる。

「……あなたたち!ここで、私の部屋で、何をしているのですか!?」
「私の、部屋?」

 きょとんとして言葉を返すトルネコに構わず、シスターははっとしたように箪笥(たんす)に駆け寄り、中を引っ掻き回して叫ぶ。

「無い!無いわ!女王様に頂いた、大切な、ブロンズの十字架が!」

 マーニャが確信じみた嫌な予感に顔を(しか)める。

「おい。雲行きが」
「怪しいどころじゃないね」
「これは、はめられたな」
迂闊(うかつ)でした。あのような手口に引っ掛かるとは、情け無い」
「わしが付いて居りながら王子をこのような事態に巻き込んでしまうとは、なんたる不覚」

 マーニャに続いてミネア、アリーナ、ライアンにブライもぼそぼそと呟き、トルネコとクリフトに少女が戸惑う前で、シスターが金切り声を上げる。

「誰か!!誰か、来て!!泥棒よ!!」

 シスターの悲鳴に応えてすぐに複数の足音が響き、衛兵が駆け付ける。

「我ら女戦士が守るガーデンブルグで盗みを働くとは、なんたる不届き者!神妙に縛に就け!」

 武器を帯び、旅慣れた様子の一行の実力を警戒してか、距離を取って衛兵が宣言する。

「……吹っ飛ばしていいか?」
「いいわけないだろう」
「ここはひとまず、従うべきでしょうな」
「捕縛される経験をすることになるとは、わからないものだな」
「私たちはともかく、アリーナ様をこのような目に遭わせてしまうとは……申し訳ありません」
「国王陛下に、合わせる顔が無いの。ともあれ、後のことは後じゃの」
「あらあら、困ったわねえ。」
「捕まれば、いいのね?」

 手を上げて無抵抗を示したところを衛兵が手早く拘束し、一行は地下牢に連行された。



「なかなか、手際が良かったな。やはりここの女戦士も、なかなかの手練れ揃いだ。こんな形で確認したくは無かったが」
「そうですな。訪れるのは数年振りでしたが、練度は落ちておらぬようです」
暢気(のんき)だな。まあ、焦っても仕方ねえけどよ」
「人生、二度目の地下牢か。さすがに、二度目があるとは思わなかったなあ」
「この歳になって、このような目に遭うとは。本当に、わからぬものじゃのう」
「事実無根である以上、いずれは出られるのでしょうが。とは
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