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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-43女王の国で
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応しい人物であるか否かを、盾を受け継ぎ管理するこの国の女王として。この目で(しか)と、見極めねばなりません」

 女王は再び言葉を切り、また一行を見回す。
 まだ不満げながらも視線の険は取れたマーニャを始めとして、一行に納得と当面の諦めのような空気が漂い始めたのを見て取って、また言葉を続ける。

「ユウ殿が、或いは皆さんが、天空の盾をお任せするに足ると私自身が判断できれば、勿論お渡ししましょう。しかし、今はまだその時ではありません。伝説によれば天空の装備は他にもあり、今は兜しかお持ちで無いとか。ならば、焦って判断を誤る愚を犯すことも無いでしょう。今日のところは、お引き取りください。そして失礼を承知で申し上げますが、可能な限り早くこの国を発って頂きたい。外部との接触を極力減らすことでいざこざを避けてきたこの国に、皆さんの存在は刺激が強すぎます。恩人たる皆さんには本当に失礼になりますが、どうかお聞き届けくださいますよう」



 女王の御前を辞し、一行はひとまず話し合うための場所を求めて城内を歩く。

 丁度部屋から出てきた男に行き合い、トルネコが声をかける。

「おにいさん。ちょっと、聞きたいのだけど。どこかに、落ち着いて話のできる場所はないかしら。」

 男は人の良さそうな笑顔を浮かべ、愛想良く答える。

「ああ、それならこの部屋を使ってくれよ。オレはしばらく戻らない予定だから、遠慮はいらないよ!」
「あら、そう。悪いわね、どうもありがとう。」

 急ぎ足で立ち去る男を見送り、アリーナとライアンがそれぞれ呟く。

「……あの身のこなし。なかなか、出来る者のようだったな」
「……ガーデンブルグの女戦士も精鋭揃いであるのは、有名なところですが。一時的にでも、手練れの男が居着くような環境では無い筈ですが」

 男が姿を消した方向に目をやり考え込むふたりに、トルネコが声をかける。

「ふたりとも。あまり長居すると、女王さまに悪いわ。早く、済ませてしまいましょう。」
「ああ、済まない。今、行く」
「失礼した。参りましょう」


 男が勧めてくれた部屋に入り、今後の方針を話し合う。

「思ったほど酷くはなかったが。真面目ってか固いってか、融通が利かねえな」
「でも、言ってることは完全に正しいからね。強力な装備なら早く手に入るに越したことはないけど、どうしても今すぐ必要かと言われたら、そうでもない」
「ここは、一旦諦めるしかないのかしらねえ。あとのふたつ、天空の剣と鎧でもみつけてくれば、認めてもらえるかしら。」
「この国に無為に留まり時間を浪費するよりは、まだしもそれが現実的じゃの。当ては無いとは言え」
「今回は女王様の()()を得たということで、良しとするべきなのでしょうね、きっと」

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