暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
時宮遭遇
Trick51_聞いてほしい。君の知らない物語を
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算があった。

声に出ていなくても、信乃には一字一句間違いなく伝わっていたのだ。

ネタを返してみれば簡単、信乃は『読唇術』が出来た。
唇の動きで何を言っているかが分かる技術だ。

しかも唇に集中していたために、色っぽくて艶のある唇を見続けていた。
その唇から紡がれたのだから、普通の告白以上の衝撃を与えた。

美雪が抱きついたときに信乃の心臓が高鳴っていたのは
照れていたからで間違ってはいないが、お礼を言われたという可愛い理由ではなかった。

(しかも至近距離の微笑とか反則だろ/////)

目が見えない美雪は、信乃の顔がある方向を向いただけだった。
向いただけで距離は一切考えていない。

信乃は美雪にささやき声程度で話しかけていたから、信乃からの息は届いていなかった。
だが本当は普通に話せば吐息が掛かるほどの至近距離。

更に美雪は自分の声が出ないからそんな調整が分からない。
騒音の中で普通に話したつもりが、いつの間にか大声になっているのと同じく
一大決心の告白に力が入り、まさに熱の入った強い吐息が信乃の吹きかけられた。

(どうしよう・・・・・明日から普通でいられるかな)





美雪の一世一代の告白から翌日。

美雪は相変わらず信乃に抱きついた状態で過ごしていた。

しかし昨日までと抱き心地が違う。

信乃の心臓の音が大きくなっているからだ。
常時ヒートアップ状態。ふるえるぞ心臓(ハート)、燃えつきるほど体温(ヒート)
刻むぞ血液の(ビート)


(・・・・・お礼を言っただけでここまでなるかな?)

悪戯が成功したが、やりすぎちゃったかな? と美雪は考えていた。

(どうしようかな〜、いつもの仕返しに追撃しちゃう?
 昨日みたいにゆっくりで簡単な言葉なら伝わると思うし・・・
 『だ い す き』 とか♪)

精神はマイナスから戻っており、事件に関する単語を聞かなければ
恐怖がフラッシュバックすることもない。

話す事と、見る事が出来ないままだが信乃に完全に抱きついている今は
視覚など必要無く、言葉も必要無い程に惚気になっていた。

現に惚気で、話せない状況でさえ楽しむ始末だ。

(どうしようかな〜♪?   え?)

と、急に信乃の心音が変わった。

先程までの、照れた状態の心音ではない。


信乃が真剣な時の、心を決めた時の状態だ。


美雪もこの音を聞いた事は数度しかない。

だがその全部が、信乃にとって大きな決断をした場面であった。
しかもその大半が碧色(あおいろ)の眼を出すほど真剣に。

「美雪、聞いてほしいことがある」

(それなら・・・私も真剣に聞かなきゃなね)

信乃の問に、首を縦に
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