第四章
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って来ます」
「閉まるのは早いからそれには気を着けて下さいね」
「はい」
そして艦から出てそのままPXに向かった。入ってみれば確かにかなり大きい。しかも言われた通り本屋まであった。見れば思ったより色々な本が置かれている。
「へえ、これは凄い」
下手な本屋より色々な本があった。漫画もあれば雑誌もある。彼はそれを次々に手にとってカウンターに向かった。金額は通常より一割程少なかった。
「定価じゃないんですね」
「ここではそうなんですよ」
店員を務めている中年の女性がこう答えた。
「自衛隊の施設の中では普通の品物より一割低いんです」
「やっぱりそれも福利厚生の一環なんですか」
「はい、そうです」
店員さんはまた答えた。
「まあ一割程度ですが」
「いや、それでもいいですよ」
速水は笑顔で返した。
「それだけお金が浮きますから。それでコーヒーの一本でも買えますしね」
そう話しながら本を買った。そして今度は喫茶店に入った。そこで本を読みながらコーヒーを飲むのであった。
「快適なものですね」
思ったよりこうした施設が充実しているのには内心驚いていた。海上自衛隊といえば質素な組織だと思っていたからである。だがどうしてこうしたところは充実しているのだと思った。
「今度ベースに行かないか」
「おっ、いいな」
だがここで廊下から声が聞こえてきた。
「ベース?」
「アメリカ軍の基地のことですよ」
丁度コーヒーの後で気が向いて頼んだサンドイッチを持って来てくれた店のおじさんが説明してくれた。
「ああ、横須賀の基地の」
「はい」
横須賀にいるのは海上自衛隊だけではないのである。自衛隊の施設としては防衛大学校もあり、そしてアメリカ海軍もいる。ベースとはそのアメリカ海軍の基地のことなのである。
「そこはまた凄く広くて」
「ここよりもですか」
「こんなところ比べ物になりませんよ」
おじさんは笑ってこう説明してくれた。
「そんなに」
「まるで違いますよ。土日に行けばね」
「はい」
「千円位で食べ放題があるしお酒も安い」
「お酒も」
それを聞いた速水の目の色が変わった。変わったように見えるのは外から見えている右目だけであったが。
「はい。それも凄く安いんですよ」
「何かいいところですね」
「少なくともここなんかとじゃ比べ物になりませんよ。そうしたところはやっぱりアメちゃんは凄いですね」
「向こうは軍人の待遇がいいんですよね」
「それだけじゃありませんね」
おじさんはまた言う。
「何か。そうしたことに対する考え方が全然違うんでしょうね。設備とかの」
「そうなのですか」
そんな話を聞きながらサンドイッチを食べた。そしてコーヒーを飲み干すと店を後にした。買った本を抱えながらPXを後に
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