喪失編
六話
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れないが、その額はたかが知れてる。
金は持っていて、損はない。
俺はタコの魚人の拘束を解くようロビンに言う。
タコの魚人の体から手が消え、前向きに倒れる。
「では、案内をしてもらおうか。アーロン」
「分かった」
「あ、アーロンさん?どうして敵に!?」
驚くタコの魚人にアーロンは軽く手でこずき、無言で進むよう告げる。
「無駄口を叩かず、手早くそのアーロンに案内しろ。お前の仲間みたいに成りたくないなら」
「わ、わかったよ〜.....」
タコの魚人はアーロンと共に海に潜り、何処かへ消えた。
俺は数体のゾンビだけを残し、アーロン達が戻ってきたら財宝を運ぶのを手伝うようにいい、ロビンと共に船に戻った。
「この島にいる意味はもうない。出港する」
朝方、魚人ゾンビは日の当たらない船倉に行かせ、俺は海を眺めながら言った。
「そうね、あの魚人もちゃんと財宝を持ってきてくれたし、今日はパーティーでもしましょうか?」
ロビンは軽口を叩き、俺の横に並んで立つ。
あの後、特に問題もなく、タコの魚人とアーロンが宝を抱えて戻ってきた。
この世界の宝の価値がどれ程のモノかは知らないが、当分金に困る事は無いだろう。
「それよりいいの、DIO?村の人達に話しに行かなくて?」
「何故?そんな義理はない。称賛や羨望などにも興味はない」
「そう....ねぇ、聞いてもいいかしら、DIO?」
「答えられる範囲なら」
一拍の間の後、ロビンが天気を聞くような軽い口調で言った。
「なぜ海賊をしているの?」
「海賊になったつもりはない。俺はただ敵の船を奪って、旅をしているに過ぎない」
「じゃあ、なぜ旅を?」
ロビンの問いに俺は海から目線を外し、ロビンを見た。
そして、小さくも大きくもない声で答えた。
「理由などない。ただ力があるからこうしている。ただそれだけだ」
ロビンが無言で俺を見返す。
そう、明確な目的など在りはしないのだ。
記憶を失い、気付けば化け物になっていた、力を持った、この戦いのある世界にいた。
俺はただ世界に従っている。
「だが」
「何?」
記憶さえ戻れば。
そう思い、言葉に変換しようとする。
だが、なぜか言えない。
言葉が出ない。まるで言葉を忘れたかのように。
そしてまるで.....
「いや、何でもない」
何よりその言葉に言い知れない恐怖を感じていた。
思い出してはいけない。
不意に脳裏にその言葉がよぎった。
後日、風の噂で魚人に支配された島が一夜にして魚人が消え去ったという話が流れた。
何があったかを知る者はいなかったが、その村の駐在の話によれば魚人が消える直前、男女の二
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