喪失編
六話
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的強者によるできレースのように、最初から勝ちが決まっていた。
「ゲホッ.....この、俺が下等な人間、に......!」
アーロンは憎々しげに憎悪の視線を顔だけをこちらに向け、放つ。
正確には後ろの世界にもだが。
所詮は価値観の違いだ。
この魚人のように人間=弱者、魚人=強者。
こんな考えを持っている相手は大抵世界の広さを知らない愚者か、本当の強者かのどちらかだろう。
「下等なのは、人間にも魚人にも存在しているだろう。現に個で言えば俺、世界で比較すればお前よりも強い人間は多く存在している。そうは思わあないか?」
「........」
アーロンは答えず、ただ歯を食い縛っている。
.......敵に答える義理もない、か。
このアーロンは前者に当てはまる。
だから、人間は弱い、魚人は強いと決めつけ、簡単にランク付けできる。
世界は一つの常識が全てではない、アーロンの言うような常識もあれば、逆もまた然り。
だが、少なくともこの魚人は圧倒的強者ではない、が一般的な強者の地位に居るのは確かだ。
だからこそ、これが相応しいだろう。
俺は憎悪の視線を投げ掛けてくるアーロンの額に肉の芽を埋め込んだ。
「恨むなら己を恨め。無力を、弱さを」
世界はいつの時も強者に優しく微笑み、弱者に厳しく怒りを向ける。
だからこそ理不尽に怒り、もっと憎むといい。
悪人であれば、有るほどより強くなれるのだから。
アーロンの眷属化を終えた後、ロビンと魚人ゾンビの元へ戻ると丁度ロビンが幹部と言っていたタコのような魚人を拘束していた。
見た所、それがゾンビ化していない最後の生き残りのようだ。
「あら?早かったわね、DIO。アーロンはどうだったのかしら?」
「問題ない、既に眷属にした。それよりもその魚人が最後か?」
「ええ、やたら腕がたくさんあるから拘束に少し時間が掛かっちゃったけど」
「別にそれはいい。早くゾンビ達に噛ませろ」
俺の言葉にタコの魚人が暴れ始めた。
といっても、頭だけだが。
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ〜!降参、降参する!」
情けなく身をよじるタコの魚人。
生かしておく義理はないが、眷属はもう充分だ。
なら....
「お前を助けたとして、俺に何のメリットがある?」
俺がそう言ったのは、この魚人が自分の命と引き換えにそれ同等の物を出せるかを確かめるためだ。
対価によっては、逃がしてもいい。
俺はDIOとは違うのだ。
「な、ならおでが隠していた財宝庫に案内する!そこにたくさん金や宝がだから助けてくれ〜!」
「財宝か....」
そう言えばこの世界の通貨を俺は一円たりとも持っていない。
船を探せば、少しは出てくるかもし
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