拠点フェイズ 3
拠点フェイズ 馬正 関羽 張飛 趙雲
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様子を見たご主人様は……
「……まるでフルマラソンみたいだな。鈴々、どれだけ走ってきたんだ?」
「にゃ? この先にある三つ目の邑まで行って、そこからまた戻ってきたのだ」
「………………片道二十kmはある道を、この短時間で往復だって?」
信じられないような目で、倒れた兵たちを見るご主人様。
兵たちは呼吸を整えると、それぞれが自身の足を揉んでいる。
相当に慣れているようだ。
「今日はまだ二往復しかしてないのだ」
「におう……まて、鈴々。いつもは一体どれだけやっているって?」
「調子が良い時は四往復させるのだ。でも、そうすると鈴々以外は倒れちゃうから、いつもは三往復でやめているのだ」
「………………ちなみに、鈴々はいつもその豚に乗ってやっているのか?」
「今日は、鈴々の豚をお兄ちゃんに見せたいから乗っているのだ。でも、いつもは一番で走っているよ?」
「………………ソウデスカ」
ご主人様が引きつったように笑っている。
はて……ご主人様なら、それぐらい楽にできるでしょうに。
「……すでに精鋭になっているのか。こりゃ相当期待できるな……」
ご主人様が呟き、笑みを浮かべる。
ふむ……よかったな、鈴々。
ご主人様は、いたく御機嫌のようだ。
「皆、休みながら聞いてくれ……今後、第一軍、第二軍ともに増員を検討している。その場合、皆が先達となって彼らを指導して欲しい。それが漢中を……桃香を護ることになる。よろしく頼む」
ご主人様はそう言って……ぺこりと頭を下げました。
その様子に、義勇軍だった者はにっこりと笑い……それ以外の兵は、驚いたように目を丸くしている。
ご主人様の数ある長所のうち、私が最も好きなところ。
それは……たとえ相手が誰であろうとも、平然と頭を下げることが出来る度量の広さ。
それは桃香様と同様にある、ご主人様の資質だった。
「御遣い様、いまさらですよ。義勇軍時代にも言いましたけど、俺達はできることをやっているんです。だからお顔をあげてください」
「そうです……俺達、元義勇兵はともかく、御遣い様を知らない奴も多いんですから」
「もうちょっと威厳を……は、無理か。突撃軍師様ですしねぇ」
「ちょっと待て! 誰が突撃軍師だ!」
ご主人様の言葉に、元義勇兵たちが笑い、それにつられて外の兵も笑っていく。
いつしか誰の顔にも笑顔があった。
(さすがです……ご主人様)
私は鈴々と顔をみあわせ……互いに笑顔で笑いあった。
―― 盾二 side 漢中 ――
「というわけで、仕事が増えるよ、星」
「…………主。いきなり来て仕事を押し付けるとは、一体どういう了見です?」
軍の視察から城
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