第三章
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一枚のタロットカードを取り出した。それを見た彼の顔が急激に曇っていった。
「やはり」
「何かあるのですか」
「その客船ですが」
「はい」
「どうやらよからぬものが取り憑いていたようです」
「取り憑く」
「そうです」
速水は答えた。
「これを御覧下さい」
そう言って艦長達にそのタロットカードを見せた。そこには一人の道化が描かれていた。何処かトランプのジョーカーに似ていた。
「それは」
「愚者の逆です」
「愚者の逆」
「しつこい相手につきまとわれている場合に出たりします」
「しつこい相手ですか」
「そう、この場合は人ならざる者です」
彼はこう説明した。
「といいますと幽霊か何かで」
航海長が尋ねてきた。海上自衛隊は海軍の頃からこうした話には事欠かない。事実江田島の幹部候補生学校、かっての海軍兵学校にはそうした話は山程ある。
「詳しいことはまだはっきりしませんが」
速水は即答を避けた。
「そうですか」
「少なくとも怪しげな存在なのは事実でしょう」
「そうですか」
「詳しいことはこれから調べますが」
「はい」
「用心はして下さい。これからも色々と起こるでしょうから」
「わかりました」
こうして士官室での話はとりあえずは終わった。速水は空いていた部屋の一室に案内された。
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