第二章
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「御覧になられますか」
「はい」
彼女はその問いに答えた。すると彼はそれに頷いてカードを彼女に対して見せた。
「どうぞ」
そこには太陽が描かれていた。そしてその周りには人がいる。見れば晴れやかな顔をしていた。
「太陽」
「そう、太陽です」
彼はにこりと笑って答えた。
「これは非常にいいカードでして」
「そうなのですか」
「これは私の予想ですが」
「何でしょうか」
「貴女は最近今付き合っておられる方と喧嘩されましたね」
「はい、そうです」
彼女はそれを認めた。
「ちょっと。詰まらないいざかいで」
「そうでしょうね。だからこのカードが出たのです」
彼は目で頷きながらこう述べた。
「ですがこのカードが出たということは安心されていいです」
「何故ですか?」
「太陽は毎日昇りますね」
「ええ」
「沈んで浮き上がって。即ち復活です」
彼は述べた。
「つまり仲直りできるということです」
「それは本当ですか!?」
それを聞いた途端顔が明るくなった。
「はい」
彼はそれにまた頷いて答えた。
「私の占いは外れたことがありません。そして今もまた」
「わかりました。それじゃあ今日仕事が終わったら会って来ます」
「早いですね、それはまた」
「思い立ったが吉日ですから」
声まで明るくなっていた。
「何か元気が出て来ました。有り難うございます」
そう言ってここで左手を見た。彼はそれを見てあることに気付いた。
「あの」
「何でしょうか」
ウェーブの声はさらに明るさを増していた。
「今左手を御覧になられましたね」
「ええ、それが何か」
「いえ」
この横須賀の基地の港のすぐ隣にとある球団の宿舎と二軍の練習場があるのである。同じ神奈川県にある横浜ベイスターズの宿舎でありその二軍である湘南シーレックスの練習場である。彼女は今そこを見て楽しそうに声をあげたのである。
だが彼女はそれには気付いていなかった。彼はそれであえて話をぼかしてきた。
「昨日のベイスターズの試合はよかったですね」
「はい」
やはり返事も元気のいいものであった。
「最後の最後で勝ちました」
「まあ今の巨人は最後がお粗末ですからね。いいことです」
「そうですね。やっぱり巨人は負けないと」
「はい」
彼はそれには同意であった。実は彼も横浜ファンなのである。
「地元の球団が勝って嬉しいですか」
「実は私は金沢出身なんですか」
「そうですか」
自衛隊は全国から人が集まる。だから何処に配属されるかわからないのである。
「それでも子供の頃から横浜ファンなんですよ」
「横浜大洋ホエールズの時代からですね」
「懐かしいですね」
「私もそうですから」
彼も自分がファンであることをここで認めた。
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