一部
出逢い
これが世界を牛耳ってる男ですか、、、、!?
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しぐらだった。ふと、隣のキャスパーが笑った。
「何、キャスパー」
「フフンフ、いやね、チェキータさんにしては珍しいなって。えらくご関心じゃないですか」
「べっつに。キャスパーだってすごい気に入ってたじゃない」
「まあね。面白い娘じゃないか。色々裏がありそうだが」
「裏なんてどこにでもありふれてるよ、キャスパー。嫌になるぐらいね」
「ハハハ! 間違いない。それを撒き散らして金を貰うのが僕たちの仕事さ。嫌になったかい?」
「冗談。私たちにはお誂え向きの仕事じゃない」
「それなら結構。それじゃ、次の仕事に行こうか」
先にヘリの中に昇ったキャスパーが私に向かって手を差し伸べてくる。楽しそうに微笑んでヘリのライトを背景にしたキャスパーはまるで悪魔だった。人を惑わす悪魔。
「銀狐…まちがいないわね」
私はそう言って笑うとこれから待ち受けるあの子の運命を祈って彼の腕をとった。
「ああ、おいしい。おいしい。生きてて良かった…」
さっきまでの雰囲気はどこへやら、マリーはひたすらに料理をむさぼっていた。彼女の矜持は“嫌な事はさっさと忘れる”でもあるのだ。目の前の食事が不味くなるような出来事はすぐに頭の中から排除し、めいいっぱい食べる。マリーはとってもたくましい乙女だった。
かちゃかちゃとテーブルマナーお構いなしに運ばれてくる料理を胃袋の中に納めていると、不意に後ろの扉が開いた。
「あ、おかえりなさい、キャスパーさん」
「悪いが、その男は既に逃げた様だ。せっかく“家族集合”となる所だったのだが」
しわがれているのにエネルギーに満ちた声だった。
次にステッキをつく音がして、ゆったりと男は私の前に坐った。老人、どこにでもいる老人に見えた。しかし、マリーは百戦錬磨の軍人を目の前にしたような妙な気分になっていた。なるほど、矛盾している。だけど、そのちぐはぐな感じは確かに彼に似ていた。
「やあ、ロロノフ・マリシア君。私がHCLI社のフロイド・ヘクマティアル。今日はビジネスの話をしようじゃないか」
そう言って剣呑な笑みを浮かべる。確かにあの銀狐の父親に相応しい物騒な男だった。
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