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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第24話 「戦争目的、戦略、戦術」
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正面作戦をするって事は、フェザーン回廊が戦場になるってことだ。そうなるとフェザーンに被害が出る。抜けるのと戦場になるのは違うぞ」
「いや、それは分かるんだ。でも現状では同盟にも戦力に余裕があるだろう?」
「もちろん」
「だったら、どうして?」

 ラインハルトがほっぺたを膨らまして、皇太子殿下に詰め寄ります。
 肩を掴んで揺さぶってます。
 駄々を捏ねてるようでかわいいー。

「だから、最初に言った戦争目的はって話になるんだ」
「戦争目的?」
「そっ、戦争っていうのは、手段であって目的じゃないぞ。何を目的に戦争するんだ?」
「そりゃあ〜帝国を倒そうと?」
「倒してどうする?」
「併合するんだろう?」
「同盟にそんな余裕はない。国力の違いってやつだな。帝国には貴族の私兵というもう一つの宇宙艦隊がある。なりふりかまわず戦争するとな。正規艦隊十八個に貴族の私兵が十八個艦隊。これら全てを相手にする事になるぞ。そこまで相手にはできんだろう? だから同盟は総力戦では勝てないんだ。だったら防衛戦をするしかない」

 皇太子殿下の言葉にラインハルトとジークが悩んでいます。
 確かに総力戦では同盟は帝国に勝てません。防衛戦しかないのも分かります。ですがそれとイゼルローンを落とさない方が良いというのが、繋がらないんです。

「やっぱり、よく分からない」
「すいません。わたしもです」
「しょうがねえ。答えを言うとな、たいした話じゃないんだ。これは心理的なもんだ。イゼルローンを落とされると、帝国では取り戻すかそれともフェザーン回廊を使うかという選択を迫られる。イゼルローンがそうそう落ちないのは、同盟が証明している。なら金の卵を産むガチョウであるフェザーンを潰してでも、同盟の首都を落とすしかないんだ。そして今なら、最大三十六個艦隊を動員できる。イゼルローンに向けて、十八個艦隊。そしてフェザーンから十八個艦隊で攻める事が可能になる」
「け、桁が違いすぎる……」
「うわ〜」
「たった一年で、同盟を占領できる。その後イゼルローン回廊を塞ぐ。それで終わりだ」
「だったら今まで、どうしてその手を使わなかったんだ?」

 わたしも同じ事を思いますよ、皇太子殿下。

「貴族達の戦力を吐き出させることができなかったからだ」
「ああ、そうか。でも今ならできる」
「……宰相閣下のご威光」
「皇太子の命令で全ての貴族を動員させることができる」
「ま、そういう事だ。だからな、無駄にフェザーンを潰す事を躊躇わせるようにしときゃ〜。戦場はイゼルローンに固定される。そこでふるぼっこしときゃいいんだ」
「帝国を支配できない以上、防衛戦しかなく。その為には戦場を固定しておく方が良い」

 ラインハルトが呟いています。
 ジークの目がどことなく
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