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占術師速水丈太郎  ローマの少女
第七章
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はまずデートの誘いを断ってから、というのがいつもなのです」
「そうだったのですか」
「ただし、例外もあります」
 アンジェレッタは笑みを変えてきた。誘うような笑みになった。
「例外?」
「何も男から声をかけるとは限らないということです」
 そして速水の右目を見てきた。その黒の中に様々なものを含んでいる目を。
「女の方からも。如何ですか」
「願ってもない御言葉です」
 速水はまずはそう述べた。
「私なぞに。ですが」
「あら、駄目でしょうか」
「申し訳ありません。私には心に決めた人がおりまして」
 彼は言う。
「その申し出はお受けするわけにはいきません」
「左様ですか」
 彼女の言葉に微かであるが失望が漂ったように感じられた。
「ええ、すいません」
「それなら宜しいですわ」
 アンジェレッタはくすりと微笑んで引き下がった。
「無理にお誘いするのはかえって失礼です。ですが」
「何でしょうか」
「貴方の様な方に思われているとは。さぞ素敵な方なのでしょうね」
「ええ」
 微かに笑ってその言葉に応える。この時彼はその妖しい美しさを持つ彼女のことを頭の中に抱いていた。だがそれはあえて話には出さない。


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