六話 「波の国」
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ときには容易く値下げして安く思わせる。
相場を知らん客には、普通に売るよりも買う気が起きるとおっさんに言われたことがあるが、そのタイプかね。
「ここからその島までは、大体二日ですよね。無理をして動けば一日でも行ける。五割」
だが、それは此方も同じ。最初はありえないくらい安くふっかけ、そっから段々妥協していく。
現地での三倍、といったがそれは仕入れ値に利益などをプラスした値。
仕入れ元から余り間を介さず、安く仕入れているとしたらまぁ……二倍ぐらいはするかねぇ。
それの値段にもよるし、相場よく知らんが。ほどほどの値段の物だから、そんくらいだろ多分。
「歩きならそうかもしれんが、水路使ってんだ。その分割高になるに決まってる。七割七分」
「いえいえ、それはこの国なら大抵そうなるんじゃないですか? 六割」
「だから全部その位になってらぁ。それが相場だ。七割五分」
(まあ、この辺りでいいか)
そう思い、右手で頭を掻く。
「もう少し行きませんか? 六割五分」
「いや、これ以上は無理だって。こっちも利益出さなきゃならんからなぁ」
「そうですか……なら仕方がない」
「そうそう、そこらで折れなきゃ。それと兄ちゃん、交渉するならもっと上手く???」
「わぁ、この間の店よりたかーい!」
ジジイの声を遮り、子供の声が響く。
白の声だ。俺たちの直ぐ近くで、ジジイの声を遮った。
ジジイが口を開く。
「嬢ちゃん、何を言ってるんだい?」
「これに書いてあるのと同じ字の筒見ましたけど、それよりもずっと高いなーって」
「いやいや、これはそれとちょっと違うんだよ。それよりも黙っててくれるかい? 今はねおじさんたち???」
「奇遇だね。お嬢ちゃん、君はこれが高いと思う?」
ジジイの言葉を無視し、他人のふりをして白に話しかける。
そういや今更だが、周りには白って女性に思われてんだな。
こちらの質問に白は笑顔で頷く。
「うん!」
「だ、そうですが。もうちょっとまかりませんかねぇ〜」
そのまま俺は無言で、白はニコニコとジジイの方を向く。
「……ちっ。七割。これでどうだ」
「ありがとうございます」
目標金額なので特に不満もなく金額を支払い、茶筒を貰う。
そしてニコニコとしたままの白に視線を向ける。
「ありがとうお嬢ちゃん。良ければお礼に髪留めの飾りを買ってあげる」
「え? い、いえ。そんな……」
白が困ったように言う。
それはそうだ、これは言ってなかったこと、いわばアドリブなのだから。
まあまあ、と頭に手を置く。
「さっき外で見ていただろう。安く変えたのも君の御蔭だからね。それ位気にしないでくれ。おじさん、外のやつ一つもらうよ」
「そ
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