六話 「波の国」
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。前の世界の姿でなく、今の姿から育ったらどうなるかという感じをイメージした十代後半辺りの姿に化ける。まあ、実際はどうなるか分からんが。
うん、よし。
「じゃ、言った通り頼むぞ白」
「まかせて下さい」
その言葉に頷き、再度店の中に入る。
「らっしゃい」
ジジイの声を聴きながら、お茶の所に近づく。
「色々ありますね」
「おっ。茶に興味がありますかい。それならこの二つはお勧めですよ。珠葉澄と紫玉。気にならない、飲んで流せる渋さが良い」
「迷いますね。……味を見ることは出来ますか?」
「おお、良いぞ。ちょっと待ちなさい」
良いのかよ。対応違いすぎるぞジジイ。
ジジイは茶葉を小さめの急須に少し入れ、後ろから取ったヤカンのお湯を注ぐ。
そのまま伏せてあった湯呑を手に取り、ヤカンのお湯で一度湯呑をすすいでからお茶を入れる。
「珠葉澄だ。美味いぞぉ」
「いただきます」
口をつける。子供の身には熱いが、やはり美味い。
口の中にあるときはやや渋さを感じるのに、飲んだ後はそれが残らない。味も変な雑味が無くていい。
味わいながら飲みきると、ジジイが急須を掲げる。
鼻に届く匂いが先ほどとは少し違う。今の間に次を用意したのか。
「次は紫玉だ。飲みやすさは負けるが、深みがある」
渡した湯呑に茶が注がれ返される。さっきよりも茶の色が少し濃い。
小さくずっ、とまず一口飲む。深み、というより濃いと言えばいいのか。
渋さ自体は感じるが、それを味が塗り潰している結果感じない。が、飲んだ後に少し渋みが残る。味も雑味の様なモノを感じる。
単純に味覚が子供だからだろうか。深さという感想は抱けない。
まあ、美味いは美味いんだろうなぁ……多分。
「ごちそうさまです。珠葉澄の方が自分としては良いですね」
「おお、そうかいそうかい」
湯呑を渡しながら値札を見る。
うん、三割は値切ってやる。おっさんならもっと行くだろうけど。
「でも、高いですよねこれ。四割くらいにまかりませんか」
「いやいや兄ちゃん、馬鹿言っちゃあいかんよ。これは外から仕入れてる一品。この位の値段はするさ」
「水の国の近く、ちいさな島からですもんね。確かに大変かもしれませんよねこれ」
「……へぇ。知りもんか兄ちゃん」
只のカモじゃない事を理解したのか、ジジイの眼が変わる。
好色ジジイの様な目から、面白そうな目へ。
「でも、これは少し高いと思いますよ。現地での店の大体三倍程。ちょっと多すぎるんじゃあないですか?」
「それも知ってんのかい。だがな、それでも半額はまからねぇよ。八割五分ってとこだ」
ふむ、やはりこの位は容易く下げるか
あえて最初かなり高く見せといて、売る
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