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弱者の足掻き
六話 「波の国」
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ける。


 数年後、この国はガトーに支配される事を俺は知っている。
 英雄(カイザ)は死に、自由な交易は閉ざされ希望は萎む。
 賑わいは無くなり、店からは品が消え子供が物乞いを始める。
 反逆には死が。勇には暴が。民には刃が向けられる。

 原作に追いついた時、あの店はどうなっているのだろう。







「話を聞く際、その店の品を買った方が話してくれる。だから、聞きたいことがとりあえず何か買って世間話でもいいから色々話して、適当に頃合い見計らって聞け」
「はい」
「子供の方が気軽に話してくれる場合もある。逆に、込み入った話だとある程度の歳行ってないと相手にされないこともある。そんな場合は変化でも使え。白は今、使える状態まで行ってたっけか?」
「変化ならもう少しで。術はそれを最初に覚えるよう、イツキさんに言われてますから」
「ならよし。まあ、あれだ。状況に合わせて使うか考えろ。話聞く以外で、物を買う交渉の際は子供の姿だと良くないから、そんな時も化けろ。全体的に何か質問あるか?」
「……目くばせされた際、どんなことに気を付けておけばいいんですか?」

 少し悩み、答える。

「基本は相手が嘘言ってないかだな。場合によっては前もって言う事もあるが、それ以外なら……何か隠してるようならそれがなんなのか探ったりとか、その辺かなぁ。嘘かどうかは視線の動きとか口調とか、まあその……慣れだ」
「分かりました」

 ……頭良いなこいつ。ホントに全部わかってるのか?
 店を離れた後、適当にそこらを歩きながら俺は白に色々教えていた。
 店での話から、適当な雑学まで必要だと思ったことをこまごまと言う。
 大丈夫かと心配しながら話すが、その心配とは裏腹に白は理解を示し話を聞いて行く。
 明らかにガキじゃないだろと思い知らされる。全体的にスペックが高いなホント。

 知識は知恵となり、己を助ける物となる。
 再不斬と違い、俺は戦闘面で原作程にこいつを育てられない。
 ならばたとえどんな事であろうとこいつに覚えさせ、違う事で補うしかない。
 いずれは真っ当な戦い方などでなく、糞下らない卑怯な事まで教え込むことになるだろう。
 原作補正という力が無い弱者である俺は、どんなことでもせにゃならん。非才の悲しいことだ。
 ……原作知識も、いつ頃教えるべきなんだろうねぇ。
 
 一通り今言う事を終え小さく息を吐く。
 さて……
 調べること終えた後は、観光タイムだろ。

「まあ、言う事はこの位か。じゃ、後は適当に回ろうぜ」
「はい。どこに行きますか?」
「さっきの饅頭の甘さが取れん。お茶飲もうお茶」

 美味い事には美味いが、餡子の甘さが口の中に残ってしょうがない。
 子供の体で丸々一個は多か
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