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弱者の足掻き
六話 「波の国」
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い。

(考えるだけ、無駄か……)

 臭いのする風を受けながら、そう思う。無理矢理に思考を止める。
 白が女性。この事は変えようがない。
 記憶にある原作知識では、白は男だったはず。だが、この世界の白は違う。無いはず無いはずのモノが無かった。
 寧ろ今思うと、そもそも原作の白は男だったのだろうかとさえ思えてくる。
 どうして男だと言われたのかよく覚えていないが、確か外見は完璧に女性だったはず。
 なら、そもそも外野が男だと思っただけで本当は女だったと考えればいいのではないのだろうか?
 そうすれば、何も疑問は無い。せいぜい原作再不斬への印象が色々とアレになるだけだ。うん、問題はない。多分……
 そう思っていると、白がコップ片手に戻ってくる。

「お水持ってきました」
「助かる……」

 受け取り、一気に飲み干す。
 冷たい水が喉を過ぎていくのを感じると同時、顔の温度が下がって行のを感じる。幾分楽になった。
 そんな頭で思い出す。そういえば、白が自分で男発言してたんだよな確か……間違えるはず無いよなー。
 ………後回しにしよう……考えたら負けだ。
 そう念じる。考え始めたら、どうしようもなくなってしまいそうな気がしてくる。
 だからこそ、しがみつく様にある思いを無理矢理押し込み、無視する。
 そうでなきゃ、やってられん。

「あー、楽になった」
「じゃ、止めていいか。めんどくさくなってきた。このままだとお前の顔にコレがダイブする」
「あ、はい。ありがとうございました」
「お、おう……」

 送られていた風が止まる。
 まだ違和感が色々あるが、随分楽になったので立ち上がる。
 
「布団は運んどいた。大丈夫なら荷物持って上行って早く寝とけ」
「はいはい。白、上行くぞ」
「もう、大丈夫ですか?」
「問題はない。ただのぼせただけだよ」
「よかったです。分かりました」

 それぞれの荷物を持ち、上へ上がる。
 何でかおっさんも付いて来る。もう大丈夫だっての。
 何故だかおっさんが奥の部屋を開け、覗き込む。
 
「?そっちは違いますよ」
「ああ、分かってるがちょっとな……」

 ちょっと何なんだよ。そう思いながら手前の部屋へ入る。
 確かに丸まった布団が既に運ばれている。
 それを広げて敷いてみる。
 うん、子供二人なら寝れるな。
 枕二つ無いけど、子供だし。

「んじゃ、早く寝ろよ、とは言わんが夜更かしするなよ」
「へーい」
「あ、後あれだあれ」

 ちょいちょいと手招きされたので近寄る。
 小声で話される。

「夜中何かあったら教えろよ。特に隣からとか……」
「……そういえば、隣の部屋色々気にしてましたよね。何なんですか一体」

 隣に何かあった
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