六話 「波の国」
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「大体仕舞い終ったか。後はお前ら次第だな」
「はい?」
見てみればまだ大きめな袋と何かが残っている。
近くにいた白が袋を除く。
「イオリさん、これはなんですか?」
「布団だよ、布団。でだ、二人とも。上と下、どっちで寝たい。そういや上はどんな部屋だったんだ?」
「ちょっと小さめで畳敷きな、普通の部屋が二つでした。そう言えば奥の部屋、窓が開きませんでした」
「……まあ、そうだろうな」
おっさんが小さく溢す。何だ、知ってたなら前もって教えてくれればいいものを。
「ここ除いて下も二つだが、畳じゃない。なら上はそこの袋にある布団敷いて、下ならそこの組み立ててベッドだ。もっとも、ベッドの方でも今日はその布団使ってもらうがな」
なるほど、良く分からない物は組み立て式のベッドだったか。言われてみれば何かそんな感じに見えるな。
だが、と考える。どっちにすべきか。
見た限りベッドらしきものは二つ。おっさんと一緒などと考えたくもないしおっさんも考えてないだろうからおっさんで一つ、白と俺で一つといった感じか。
出来るなら上の方がありがたいな。寝る前など、巻物読んだり螺旋丸の練習したりで白以外の眼はない方が良い。
だが、おっさんはどっちに眠るつもりなんだ?
そう考え込んでいると、おっさんが口を開く。
「先に言っとくが、俺は下で寝るぞ」
「? なんでですか?」
「お前らが下になったとしたら、俺が上に行くってのも安全面的に駄目だろ。一応二人とも子供なんだからよぉ。お前らが上になったとしても、同じ部屋ってわけにもいかん。かといってもう一つの部屋は嫌だし、そもそもその場合は下に色々仕事道具とか置くから、近くにしときたい」
ふむ。なるほどね。
もう一つの方が嫌な理由は良く分からんが、下に来てくれるのは有り難い。窓が開かないの嫌だとかその辺の理由だろうし。
一応白にも聞いておくか。聞く前からわかってるけど。形だけは聞かないと。
「白はどっちがいい?」
「僕はどちらでもいいです」
「……なら、上の部屋でお願いします。手前の方で」
「分かった。なら、そっちの袋持ってけ。布団は一つしか買ってないが、体ちっこいんだからいいだろ。要るなら明日もう一つ買う」
おっさんは白と二人一部屋を前提に喋る。まあ、年齢考えれば一人一人より普通だが。
布団一つと言うが、今日くらい別にいいか。要るなら買ってくれるって言うし。
白の方を向き、確認する。
「白はそれでいいか?」
「はい」
白は特に異議なく了承する。
「そうか。なら飯食った後布団運ぶか。飯はめんどくさいから今日はカップ麺な。異議あるやつ手?上げろ」
「はーい」
「そいつは何も食わせん」
「嘘です。異議なんて
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