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弱者の足掻き
六話 「波の国」
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や。
 そう言う白に床は任せ、自分は窓の縁に足をかけ壁や天井を拭く。
 埃は下に落ちてるはずだし、上は雑巾で拭くだけで大丈夫だろ。
 四つ折りにしてキュキュキュッ、ささっとな。

「黒!?」

 一面拭いただけで思ったより汚れてる。雑巾もう結構黒いな。ま、いいか。
 四つ折りしたわけだから一枚で面は八つ。まあ、大丈夫だろ。
 そんな事を思いながら壁やら押入れやらを拭いて行く。
 うん、こんなもんか。
 白の方を見れば小さい体で頑張って畳を掃いている。健気だねぇ。
 本当はお茶のカスがあればいいんだが、それは次の時だな。
 きつく絞った雑巾で白が掃いたところを軽く拭いて行く。これもほんとは乾拭きがいいんだけどな。
一通り掃き終ったのを見て、声を掛ける。

「じゃ、となりいくぞ」
「はい」

 隣の部屋に移って同じことをする。
 うん、埃からか取っ手がジャリってする。

「ん? あの、イツキさん。窓が開きません」
「ちょっと見せろ。……何だこれ、鍵の所壊れてんじゃねぇか」

 何か強い力でもかかったのか、変に曲がってる。これじゃ開かねーよ。

「仕方ないから開けなくていい。下掃いてくれ」
「分かりました」

 そう言い、掃除を続ける。

(……ん? 何だこれ)

 押入れの中に変な染みあるなこれ。擦っても落ちね。後にしよ。
 そのまま暫く掃除を続ける。前の部屋と同じで、大体三、四十分ほどで一通りの掃除を終える。
 まだ色々気になる所はあるが、最初から比べりゃ十分だな。埃臭くもなくなったし。

「結構きれいになりましたね」
「ああ、そうだな。ご苦労さん」
「ご苦労さまです。僕はイツキさんをお手伝いをしただけです」

 ほんといい子だな白。
 掃除が終わったので一通りの道具を持ち、下に戻る。
 バケツとか変化した方が持つの楽だな。最初からすりゃよかった。



「じゃ、私達はこれで。何か要り物があればいつでも家まで。後、何かあったらぜひ教えてくださいよ。ハハハ」
「おう、ご苦労さん。そんな事あればいい話のタネになるから教えてやらぁ」
「是非。ではまた」

 下に行くと何かおっさんたちがたくさん出ていくのが見えた。

「今の人達は何ですか?」
「言ってたろ、足りないもん頼んだって。それが来た。運ぶから手伝え」
「了解です」

 ふむ。布団に食器とかその辺りか。そういやガスとかも無いとあれだよな。
 見てみれば確かに、色々と細々したものから大きめな物まで置いてある。
 おっさんの指示に従い、白も含め食器やらなんやらを置いて行く。
 前の家族が持って行けなかったのだろうか、元々残されていた棚に小物も入れていく。
そういや上にはこんな棚なかったな。

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