暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
六話 「波の国」
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???ちっちのち!
???■■ちゃんが欲しい、●●ちゃんは……

 金属の小さな塊がぶつかり合い、幼子は手をつなぎ輪を作る
 とても懐かしい記憶
 祖父母の家で見つけた玩具。近所の子供達と一緒にやった遊び
 細い糸を巻き付け、必死で引いた。回らないのが悔しくて夢中になった
 繋がれた手が温かかった。呼ばれる名前に一喜一憂してた
 使わなくなった後も、古い箱にしまって置いといた。偶に取り出して糸を巻いた
 響く金属音に懐かしくなる。聞こえてくる声につい目が行ってしまう
 どうしようもない郷愁の念が思い浮かぶ

???やりぃ、これもーらい

 相手の物を飛ばした子がそれを拾う
 その声が懐かしい。その光景が遠い
 そこに心は向かいそうになる。足は留まり続ける
 心が拒絶する。今が浮かぶ
 
 どうしようもない、“今”が刻まれる











「うぇぇ……あ、もう無理……」

 揺れる二度目の船の上、床に伏した


「フー、フー……はっ、はっ……フー……うっあ…ップ」

 長い三度目の船の上、言葉を無くし黙って顔を海の上に出した。


「おお、揺れない……揺れないぞ! ハハハ!」

 揺れ無い大地の上、地のありがたみを知った。


「慣れたけど……やっぱむ…り……」

 そして国に入るための最後の船の上、背中をさする手のありがたみを味わった。
 そして……


「やっと着いた、波の国に……!」

 長い船旅の全てが今、終わったのだ???ッ!

「ふふふふふ???」
「うっせぇ馬鹿」

 ドンッ!
 強い衝撃に、体が道の端へと押される。
 ここ波の国は、周囲を水辺に囲まれた国。水の上に足場が作られ、道や家が建っている国だ。
 それ故、周囲を見渡せばすぐそこに水面があるのが当然の立地な国。つまり、
 
(あ、やべ。酔ってて上手く動けん。ダイブする)

 押された先は当然、水中へのダイブを決める一本道なのだ。
 体がバランスを失い、斜めに傾いて浮遊する直前、手を掴まれ引き戻される。
 こちらの手を掴む小さくて柔らかい手。白だ。

「大丈夫ですか?」
「スマン、助かった。おっさん、何するんですか。そっち向かって吐きますよ」
「吐いたらもっかい叩き込むぞガキ。気持ち悪い笑い声上げてんじゃねぇ。……もうやらんから、そう睨むな白」

 その言葉にそちらを見れば、無言で白がおっさんを睨んでいた。
 うん、実にいい。実に素晴らしい成長具合だ。是非ともその調子で育ってほしい。
 
原作通り、やはり白は自身の価値をかなり低く見ている。
自主性が弱く、助けた俺を第一に考える傾向を表に出している。無論、そうする様にたびたび言って
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