第百三十九話 千草越その四
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「なっ、鉄砲か!?」
「まさか刺客か!」
「言ったすぐ傍からか」
「いたというのか」
毛利と服部もこれには色をなくした。
「何処じゃ、何処からじゃ」
「何処から来たのじゃ」
そう話している間にだった、まただった。
銃が来た、それはというと。
信長の腹に来た、そのままいくと具足を貫き腹を撃っていた、しかし。
そこに刀の柄があった、その柄でだった。
鉄砲の弾を弾いた、これには信長も目を見張った。
「何と、運がいいわ」
「あの、殿今のは」
「柄がなければ」
周りは先程以上に色を失って言う。
「お命が」
「危うかったですぞ」
「そうじゃな、しかし」
信長はあらためて周りを見た、何度見てもだった。
彼等が今いる場所から鉄砲が撃てそうな場所はかなり離れている、その距離から見るとだった。
「とてもな、撃ててもな」
「ここまで鉄砲を届けることはですか」
「無理ですか」
「どういった鉄砲じゃ」
鉄砲といえば間合いがある、その撃てそうな間合いからはだというのだ。
「かなりの威力じゃったが」
「特別な鉄砲でしょうか」
滝川は鉄砲も使える、それでいぶかしみながら言うのだ。
「ここまで届けるとなると」
「わからぬ、しかしじゃ」
「はい、今殿を撃った者はですな」
「鉄砲だけではない、腕も相当なものじゃ」
その間合いから信長を狙えるだけのものがあるというのだ。
「だからじゃ」
「用心して、ですか」
「探せ、一人で勝てる相手ではないやもな」
滝川や飛騨者達でもだというのだ。
「では行くのじゃ」
「はい」
滝川は早速己の手の者達と飛騨者達を数人一組にしてそのうえで下手人を探させた、だがだった。
敵は既に姿を消したのは何処にも見当たらなかった、暫くまさに草の根を分けて探したが見つからずだった。
信長の下に戻って述べる、信長はそれを聞いて言った。
「おそらくわしが生きているのを見てじゃ」
「しくじったとわかり逃げましたか」
「あれだけの腕の者じゃ、しくじればすぐに逃げるであろう」
そうして難を逃れたというのだ。
「ではもうよい」
「しかしまだ」
「わかっておる、刺客は一人と限らぬからな」
「引き続いて忍の者達でも周りを固めます」
こうして難を逃れた信長は忍達にも守られながら岐阜に戻った、それからは何もなかった。
だがこのことは織田家に暗い影を落とした、この話を聞いた蒲生は深刻な顔になり高山に問うた。
「誰が手を下したと思われますか」
「黒幕か」
「はい、それは誰かと」
「浅井殿でありましょう」
高山は蒲生に問われ己の予想を述べた。
「やはり」
「そう思われますか」
「その他にはどうも」
「朝倉殿ではありませぬか」
「朝倉義景殿はそうし
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