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戦国異伝
第百三十九話 千草越その一
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             第百三十九話  千草越
 信長は都から岐阜に戻ることになった、その際にどの道を通るかだった、だがその前に近江の南の守りだった。
 守りに当たるのは信広ということになった、そしてその彼の下に土佐者達が入ることになった。
 元親は都を出るその前に信長にその訳を問うた。
「それがしが残る理由は」
「うむ、御主達には次の戦にも出てもらいたいが」
「それで土佐に戻ってはですか」
「そうじゃ、間に合わぬ」
 土佐は都から遠い、それでは間に合わないのだ。
 それでだ、信長はこう断を下したのだ。
「だから今は近江の南を守ってもらう」
「そして次の戦の時には」
「また出てもらう」
 こういうことだった。
「そうしてもらう」
「わかりました、では」
「浅井の兵は強い、用心せよ」
 信長は元親にもこのことを告げた。
「よいな」
「畏まりました」
 こうして長宗我部の兵達が近江の南を信広の下で守ることになった、それと共にだった。
 信長は朽木を呼びそのうえで彼にも言った。
 まずは茶器を出した、見れば見事な茶筅だった。
 その茶筅を渡しそのうえで言うのだった。
「これは礼じゃ」
「左様ですか」
「うむ、遠慮なく受け取るがよい」
 こう言ってその茶筅を彼に与えた、そのうえで言うのだ。
「そして御主は領内を固めよ」
「浅井殿に対する為に」
「そうじゃ、近江から来る者は蟻の子一匹通すな」
 決して都に入れるなというのだ。
「よいな」
「はい、さすれば」
「そして出る者も注意せよ」
 その者達もだというのだ。
「浅井朝倉の者達が都から出てもな」
「その者達もですな」
「うむ、用心せよ」
 こう言うのだ。
「戦が終わるまでな」
「わかりました」
「御主にもこれから頼りにもさせてもらう」
 織田家の家臣として迎えるというのだ。
「何事にも励めよ」
「では」
 こうして朽木は完全に織田家に入った、都を出るまでにもすることは多かった。
 そして遂に岐阜に戻るまでの道を選ぶことになった、ここでも浅井家が敵に回ったことが重くのしかかっていた。 
 信長は都を出る直前に家臣達からこう言われた。
「近江の南は固めていますが」
「それでも道は選ばねばなりません」
「さもないと岐阜に戻るどころではありません」
「ですからどの道を通るかです」
「それですが」
「そうじゃな、ここはじゃ」
 少し考えてからだ、信長はこの道を話に出した。
「では千草越じゃ」
「あの道ですか」
「あの道にされますか」
「あの道ならよいであろう」
 こう家臣達に言うのだ。
「どう思うか」
「ですな、あの道は険しいですがあの道なら浅井の軍勢は来ませぬ」
「今はよいかと」
「それではですな
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