第四十一話 百物語と茶室その十四
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「あの人お酒からはじまる妖怪さんだから」
「ですよね、やっぱり」
「うわばみさんは」
伊達に大酒飲みの代名詞にはなっていない、うわばみといえばなのだ、
それでだ、二人も納得してこう言うのだった。
「じゃあお酒持って行きますね」
「とりあえずは」
「ああ、そんなに沢山持って行く必要はないわよ」
それはいいというのだ。
「礼儀みたいなものでカップ一杯でもいいから」
「いいんですか、それで」
「一杯だけで」
「だって、うわばみさんいつもお酒物凄く溜め込んでるし」
まずはこのことが理由としてあった、うわばみはとにかく大酒飲みなので酒をいつも多量に溜め込んでいるのだ。
「満足出来るだけの量なんてね」
「とてもですか」
「持って行けないんですね」
「そう、それこそ何升もよ」
茉莉也と同じくだ、それだけの量が必要だというのだ。
「持ち歩けない量よ」
「まあ、三升も四升もなると流石に」
「歩いて持ち歩きにくいですよね」
「せめてリアカーがないとね」
「リアカーですか」
「それが必要ですか」
「そう、大変だからね」
それでだというのだ。
「それに礼儀だから」
「それでなんですね」
「量は少なくでいいんですね」
「そう、ただね」
どうしてもだとだ、茉莉也もここで強調する。
「礼儀はちゃんとしないとね」
「ですよね、そこは」
「何があっても」
二人もそこは言う、それはどうしてかというと。
「お店をやってるとどうしても身につきますし」
「商業科では厳しいですから」
「そうそう、商業科の娘がどうしてもてるかっていうと」
茉莉也はもてる理由も話した、、商業科の娘が。
「その礼儀正しさもあるのよ」
「あっ、そうなんですか」
「礼儀正しさってもてることに関係あるんですか」
「あるわよ、男の子っていうのはね」
「礼儀正しさもですか」
「見るんですね」
「男の子を甘く見ないの」
茉莉也はそこを強調する、その話の間に日下部達がいる茶室に来ていた、その麩を開けてそれで挨拶をしてだった。
一旦話を中断したが退室しあらためて茉莉也の家の神社に向かう道を歩きながらだ、二人に話すのだった。
「日下部さんだってね」
「細かいところまでさっき見ておられましたね」
「視線感じました」
「そうでしょ?まあ日下部さんは海軍だから」
彼は今茉莉也が話している意味の男の子ではない、だがだというのだ。
「そこから来るチェックだけれど」
「軍人さんは礼儀にうるさいんですね」
「だからですか」
「階級社会よ」
これは自衛隊でもだ。
「敬礼は絶対だから、階級が上でも返礼しない人間はそれだけで駄目だって思っていいらしいから」
「日下部さんが言っておられたんですね」
「そうなんですね」
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