暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
戦場の跡
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!!」
「はいっ!」
空中で翅を使って鋭く、鋭角な方向転換をなしたカグラが刀身に炎のような心意の光を灯らせてレンの指示の方向に振り払う。
振り払って、薙ぎ払う。
ギャギイイィィィーンンンッッ!!
金属質な音が響き、今度は確かな手応えとともに《冬桜》が止められた。
正直、レンの指示通りに振りぬいただけで、そこに何がいるのか全く分からなかったのだが、振りぬいた後だからこそ、カグラは気が付いた。
そこには、何もなかったのだ。
何もない空間に壁があるかのごとき手応えだけがあり、空中に刀身が縫い止められているのだ。一種異様な光景である。
だが、その空間が突如、ジジッというノイズ音とともに一つの人影が滲むように現れた。
それは、先程確かにレンとカグラが斬った紫色の髪の女性。そして、このALOでは
古代
(
エンシェント
)
級のスペックを持つ《冬桜》の刀身を受け止めているのは、その細めの手の中に握られている少し長めの細長い鉄扇だった。
眼を見開くカグラの目の前で、女性は
「残念。惜しいな」
そう言いながら鉄扇を振り払った。
あまり力を込めているように見えなかったのに、そこから圧倒的に漏れ出でる圧力に押し負け、カグラとその女性は半ば無理やりに距離を置いた。
睨み合う両者。
ゆっくりと納刀し、いつでも引き抜けるように抜刀の構えを取るカグラの横に、翅を震わせて飛び上がってきたレンが並ぶ。
それを薄紫色の髪を持つ女は、何もせずに手の中にある鉄扇を玩びながら妖艶な笑みを整った顔に浮かべている。
それを数秒間たっぷり眺めた後、レンは心の内を全て吐き出すように静かに言葉を吐き出した。
「………なんで、おねーさんがここにいるの?《
幾何学存在
(
ジオメトリー
)
》シバ」
《
幾何学存在
(
ジオメトリー
)
》
それは、アルヴヘイムに点在する十人の強者どもに与えられた《存在》達の一角。
初代プーカ領主に選ばれたくせに、束縛を嫌い、とっとと二代目に全権を丸投げしたALO始まって以来の希代の変わり者。
しかしその実力は本物のようで、あちこちを放浪していてはその武勇を轟かせている。
レンのその問いに、シバという名を持つ《
十存在
(
バルシア
)
》が一角の女性は、ひょいっと肩をすくめた。
「それはこっちが訊きたいことなんだがな、《
終焉存在
(
マルディアグラ
)
》。自分の家で優雅に夜のお茶を飲もうとしたら、天地がひっくり返ったかと思うくらいの衝撃があったのだからな。まさか君と────」
ちら、と《
幾何学存在
(
ジオメトリー
)
》の名を冠された女性はカグラに視線を向ける。
「《
炎獄
(
テスタロッサ
)
》がいるとは思っていなかった」
「家?」
「あれだ」
少し力を入
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